平山 貴之氏|ハコベル株式会社
システム開発部長ゲーム会社の株式会社スクウェア(現在の株式会社スクウェア・エニックス)からキャリアをスタート。その後、友人が設立したベンチャー企業で受託開発やプロダクト開発に従事したのちに株式会社ディー・エヌ・エーに入社。広告システム開発やゲーム開発に携わった。2023年4月、ハコベル株式会社にジョイン。システム開発・運用部門の組織マネジメントを担当している。
ハコベル株式会社 について
── 御社の事業内容を教えて下さい。
私たちの事業は、物流の中でもトラック輸送に関するデジタルトランスフォーメーション(DX)に注力しています。具体的には、トラック輸送のマッチングサービスと物流のDXサービスをBtoBで展開しています。
平山さんのキャリア
── 当時はどんな子供(小学校〜高校)でしたか。
少し人と違うことをするのが好きだったと思います。みんながやっていることをあえて避けて、独自の道を進むことが好きでした。
例えば、中学生当時、多くの友人達は当然のように学習塾に通っていました。ですが、私は「学習塾に通う必要性を感じないし、時間を割いてまで通うつもりはない」と強く思っていました。
ある時英語弁論大会というのがあり、それに出てみないか、という話を先生から提案されました。話すテーマは自由なので自身で決めていいよ、と言われ、何を話そうかな、と考えたところ、「学習塾って本当に通う必要あるの?」というテーマを思いつき、実際に弁論大会で話したりしていた中学校時代でした。
今考えると、かなりひねくれた中学生ですよね(笑)。
また、ゲームも小学校時代から好きでした。ちょうどドラクエが流行っていた世代で、ドラクエI、II、IIIなどに夢中になっていました。
── パソコンにはどのように興味を持ちましたか。
福井県の中学校に通っていた頃、周囲ではパソコンを持っている友達も多く、自然と興味を持ち始めました。私も中学校2年生のときに、シャープのパソコンを買ってもらい、ゲームをしたり、プログラミングをしたりしていました。それが現在のキャリアに繋がっていると思います。
── スクウェア(現:株式会社スクウェア・エニックス)に入社するまでの経緯を教えてください。
スクウェア社のゲームのファンだったことももちろんありますが、大学院で形状モデリングを研究していたことが大きなきっかけでした。精密機械工学の分野で、CADなど計算機上で形状をモデリングする研究をしていたので、CGと近い分野だったのです。当時、研究所で接点があったので新卒の就職先について相談したことがきっかけで、スクウェアに入社することになりました。
── その後、友人からの誘いでスタートアップに参加されたとお聞きしましたが、どのような経緯だったのでしょうか?
大学の同級生や研究室の同級生が「電脳隊」という学生ベンチャーを立ち上げていて、そのうちの2名が新しい会社を始めており、そこに私も誘われました。それがきっかけでスタートアップに参加することになりました。
当時はベンチャーキャピタル(VC)も今ほど多くなく、自己資金や受託開発で資金を回していました。本当に泥臭く、カオスな状況でしたね。まだ世の中の仕組みがわかっていない若造でしたが、非常に多くの良い経験をさせてもらいました。
── その後、ディー・エヌ・エーに入社した経緯と取り組みを教えてください。
ディー・エヌ・エーに入るきっかけは、ヘッドハンターからの声かけでした。当時、前の会社で一つのプロダクトをやりきったタイミングでもあり、新しいチャレンジを考えていました。また、ディー・エヌ・エーには非常に優秀なタレントが揃っていて、当時は私が好きだった開発言語のPerlの世界のスーパースターがたくさんいたことも魅力的でした。
── 実際に入社してみてどうでしたか?
約12年間強在籍しましたが、優秀な人が多く非常に刺激的な環境でした。多くのプロジェクトに関わる中で、自分も成長する機会が多かったです。
── これまでのキャリアの中で一番印象に残った出来事はありますでしょうか。
ある時期に部長職を経験し、組織マネジメントが上手くいかなかったことがあります。その経験を通じて、自分自身の強みや今後のキャリアについて棚卸しをすることができました。これが、今の組織での役割やキャリア形成に大きく影響しています。
── その後、ハコベル株式会社に入社するまでの経緯を教えてください。
前職である程度やりきった感があり、自分が作った組織が自律的に動くのを見届けることができ、手が空く時間が増えてきました。その時、私は47歳でした。自分の周りでも、ある程度キャリアを積んだ友人たちが小さな会社に行き、立ち上げや急拡大をサポートする姿を見て、自分もそういうチャレンジをしたいと考えるようになりました。また、50歳を過ぎると新しい挑戦を見つけるのが難しくなると思ったので、今がその時だと感じて転職を考え始めました。
いくつかオファーをいただいた中で、ハコベルが一番面白そうで可能性が大きいと感じました。自分の力で結果が左右される幅が一番大きく、成功するにしても失敗するにしても挑戦しがいがあると感じたのです。また、ラクスル(※ハコベルはラクスル社の一事業部としてスタート)には優れたタレントが揃っていること、そして事業として社会貢献ができる部分にも魅力を感じました。実は、ラクスルグループに旧知の方がおり、そのリファラルを通じてハコベルにたどり着いたという経緯もあります。
前職のヘルスケア分野で社会課題に取り組んでいた経験から、物流という社会貢献の面でも非常にやりがいを感じ、ハコベルに入社を決めました。
ハコベル株式会社 入社
── 入社後、どのようなことに取り組みましたか。最初から開発部長として入られたのでしょうか?
最初は事業部のエンジニアリングマネージャーとして入りました。将来的には組織マネジメントを担うポジションでの期待はありましたが、まずはエンジニアリングマネージャーとして、チーム内の課題を見つけて解決することに注力していました。
もっとも心を砕いたのは事業側からの期待と組織のケイパビリティを総合的に突き合わせて、人員の配置や体制をメンバーとコミュニケーションしつついかに全体最適するか、という点でした。これは絶対に避けて通れない部分で、組織のニーズに合ったスタッフの配置や役割分担を見直す必要がありました。具体的には、チーム内の課題を見つけて解決し、効率的に動ける体制を整えることが重要でした。
一番最初に取り組んで良かったと感じたのは、エンジニアリングマネージャーや他のポジションのキャリアラダーに関する情報や自身の取り組みの透明化や、考えていることの発信を始めたことです。当時はフルリモートで、全員が出社することが決まっておらず、オンラインで名前とアイコンだけでコミュニケーションを取っていたため、マネジメント層が何をやっているのかがわかりにくかったのです。
そのため、自分のやっていることをNotionで毎週記事にまとめて発信しました。これは前職でポピュラーだった取り組みだったこともあり実践したところ、非常に効果的でした。また、エンジニアリングマネージャーの役割を明確にするために、マネージャーチームと一緒にその役割を言語化しました。この取り組みにより、エンジニアリングマネージャーが何をする人なのか、何を期待されているのかが明確になりました。メンバーは自分の目指すポジションや目標を設定しやすくなり、組織全体の一体感も増しましたね。また、開発組織以外の部門との連携もスムーズになり、全体として組織の理解と協力が深まったと思います。
── 現在の平山さんの業務内容を教えてください。
基本的には組織マネジメントが中心で、組織が力を発揮するために必要なことを何でもやっています。中でも採用が業務の半分以上を占めています。そのほかには、組織がうまく回っているかのチェックや、各自の目標設定と評価、仕組み作りも担当しています。
また、事業の取り組みや各プロジェクトの進行状況を確認し、課題があれば解決策を講じています。さらに、経営会議メンバーとして経営会議にも参加し、投資的な観点からの意見を述べたり、重要な意思決定に関わっています。
── ハコベル株式会社の事業の魅力をお聞かせください。
これまでインターネットやソフトウェアによるサービスに関わることが多かったのですが、物流は一線を画した世界です。物流の世界にはまだまだアナログな部分が多く残っています。しかし、そういった領域において、ITの世界で当たり前とされている技術を適用することで、関わる人々を幸せにできる場面が非常に多いと確信しています。
特に、ハコベルの事業には多様なステークホルダーが関わっています。多様なステークホルダーがいることで、多くの人々のニーズに応えることができます。例えば、ドライバーさんや荷主さん、物流受託会社さんなど、関わる人々の数が多いため、それぞれの課題を解決することで多くの人を幸せにできるという点が魅力です。私たちのビジョンに基づいてプラットフォームを作っていくことで、ステークホルダーの皆さんを幸せにしていけることが大きなやりがいです。
── ハコベル株式会社の動画!ぜひご視聴ください。
現在のエンジニア組織について
── 現時点の組織体制や人数を教えて下さい。また、なぜそのような組織体制にしているのか、その理由もご説明いただけますか。。
現在、約40名ほどのメンバーがいます。我々のエンジニア組織は、いわゆるマトリックス組織を採用しています。組織としてはシステム開発部門をマネージしていますが、一方でプロダクトづくりにおいては他の組織を横断する形でチーム編成を行っています。プロダクトマネージャーは別の組織に属していることが多く、QAグループも独立しています。
この体制により、プロダクトごとのオーナーシップを持ちながらも、技術部門としての一貫性を保つことができます。
── 現在の開発組織は、どのようなことに取り組んでおりますか。
プロジェクトごとにフェーズや課題が異なるため、一概には言えませんが、一番古いプロジェクトでは、事業としては立ち上がっているものの、ビジネスを効率よく展開するための最適化に注力しています。具体的には、現状のビジネスプロセスを見直し、効率化を図っています。
例えば、以前は一般貨物マッチング事業と物流DX事業における配車管理サービスは事業・サービスとしては別物のためそれぞれ開発チームを立てていましたが、プロダクトとしてはConnectという単一のプロダクトが担っているため、プロダクトに対する開発チームのオーナーシップが低下してしまうという課題がありました。
そこでConnectプロダクトのスクラムチームを一般貨物領域でのマッチングサービスと物流DX領域としての配車管理サービスを両方担うべくひとつにしました。このチームの内部では開発ラインが複数あり、規模も比較的大きいですが、ワンチームとしてひとつのプロダクトに責任を持てるようになりました。
また、配車計画のプロジェクトでは、営業と開発の連携を強化し、現場のニーズに即したソリューションを提供することを目指しています。
── 現在の開発組織の良い点(特徴や魅力的なところ)と課題点(ここを改善すればもっと良くなるなど)があれば、お聞かせください。
我々の組織の良いところは、カルチャーがしっかりと根付いている点です。我々のバリューの一つに「Reality」というものがあり、これが会社としての特徴だと感じています。Realityというのは、手を動かすだけでなく現場に足を運び、事業部門と連携して今自分が何に取り組むかを実感しながら進めていくという意味です。このバリューがしっかり浸透しており、エンジニアも事業部門の一員としての認識を持っています。
技術的な関心や課題に取り組むだけでなく、どうすれば自分の開発力が事業の成果に結びつくかを真剣に考えている点も魅力です。技術屋としてのアーキテクチャのモダン化や技術的な挑戦にも興味を持ちつつ、事業としての成果を重視している姿勢が見受けられます。
課題点としては、組織マネジメントがまだ弱いと感じています。各メンバーのパフォーマンスを引き出し、採用を通じて良いメンバーを揃える力がまだ十分ではありません。これは私の責任でもありますが、ここを強化していくことが必要です。そのため、現場のマネージャーを強化し、各メンバーのパフォーマンスを最大限に引き出すための仕組みを整えていきたいと考えています。
今後の目標
弊社のミッションでもある「物流の次を発明する」を、組織の力で成し遂げたいと考えています。
── グロースウェル社のEQ診断でいうとどのコンピテンシーに当てはまる方と一緒に働きたいですか?もしくは今の開発組織に必要なタイプはどれにあたりますでしょうか?(図の中からお選びください)もちろん、全てのタイプが必要だとは思いますが、お答えください。
弊社には、デリバラータイプの方が最もフィットするかと思いますのでご活躍いただけるのではないでしょうか。逆に、セージタイプの方は弊社のカルチャーには合わないかもしれません。
── 最後にどのような人と一緒に働きたいか教えてください。
技術を「良い意味で」手段として捉え、事業の成果を考える人と一緒に働きたいです。