大谷 祐司氏|ホライズンテクノロジー株式会社代表取締役CTO

サイバーエージェントのネット広告部門で開発組織を立ち上げたのち、2013年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。マーケティング部門のDXを推進したのち、3つの新規サービス立ち上げを行う。2018年よりサーキュレーション社に参画し、取締役CTOを務める。2022年にホライズンテクノロジーを創業して代表取締役に就任。

ホライズンテクノロジー株式会社について

── 御社の事業内容を教えて下さい。

弊社は、福岡に拠点を置くベンチャー企業であり、新規事業の創造をミッションとしています。このミッションに基づき、自社で様々な新規事業に挑戦したり、クライアント企業の新規事業を支援するサービスを提供しています。

大谷さんのキャリア

──  当時はどんな子供(小学校〜高校)でしたか。

小学生の頃は、ゲームに夢中になっていました。一度ハマると、そのゲームに没頭する日々でした。中学や高校では、ビジュアル系バンドに憧れ、ギターを手に入れて練習したり、音楽好きな仲間とバンド活動を楽しんでいました。面白いことに、その仲間の中には、今ではIT業界でCTOとして活躍している人もいますね。

── 大学時代〜一社目に入社するまでの経緯を教えてください。

大学時代もプロを目指してバンド活動を続けましたが、最終的には一般企業に就職することにしました。バンド活動を続けながらの就職を考え、20社ほど選考を受け、職種を問わずいくつかの内定を得ました。両親からはエンジニアが良いのではとアドバイスされ、中小SIerに就職することに決めました。最初の会社ではエンジニアとして4年間働き、様々なプロジェクトに参加しました。また、会社内外での活動にも取り組んでいました。一つは、当時リクルートで働いていた長井さん(現アールナイン社代表)と共に就活支援の団体を立ち上げ、運営を行っていたことです。もう一つは、自身でWebを自動的にクロールするシステムを開発して公開していました。このシステムはサイバーエージェントの方から連絡をいただき、売却することになりました。

── その後、複数のキャリアを歩まれておりますが、その経緯やそれぞれの会社でどのような取り組みをされたかを教えてください。
  • リクルートエージェント時代

長井さんと起業をする準備を進めていたのですが、その事業をリクルートエージェントで立ち上げたいというお話しをいただき、リクルートエージェントに入社しました。そこで主力である転職支援サービスを提供する範囲を広げるため、簡易電話面談による幅広い領域へのサービス提供を行うというスキームを作りました。私自身は事業立ち上げの担当として、営業からオペレーション設計、組織マネジメントまで幅広い経験をさせてもらいました。

  • サイバーエージェント〜トライフォート時代

約1年半後、サイバーエージェントの臼井さん(現在はインタラクティブ社代表)から声をかけていただき、サイバーエージェントに入社しました。実は、私が個人で開発したシステムをサイバーエージェントに売却した後、そのシステムを活用した結果として、かなり業績が伸びたそうです。その成功を受けて、サイバーエージェントの広告事業部にシステム部門を作ることになり、私に声がかかりました。当時、広告部門には約400人の営業がおり、私はその中で最初のエンジニアとしてジョインしました。最初は何もない状態から始めましたが、社内ポータルサイトを開発し、幅広い業務をシステム化することに着手しました。最終的には、子会社の技術責任者として約20人の開発組織を率いることになりました。

サイバーエージェントでは5年間働きましたが、もっとハードな環境で自分を試したいと考え、新しく立ち上がったトライフォートにジョインし、エンジニアとしてソーシャルゲームの開発に携わりました。

  • インテリジェンス(現パーソルキャリア)〜スカイディスク〜サーキュレーション時代

サイバーエージェント時代にお世話になったインテリジェンス(現在はパーソルキャリア)の鳴釜さん(TECH PLAYの創業者)から新規事業を立ち上げるので声をかけていただきました。当時、インテリジェンスには約4000人の社員がいましたが、エンジニアは1人もいませんでした。サイバーエージェントと同様の環境で最初のエンジニアとしてジョインし、開発組織を立ち上げました。インテリジェンスでは、エンジニア向けの情報共有サービス『TECH PLAY』の立ち上げや、オープンイノベーション支援の『eiicon』、転職サービス『ミイダス』の開発に携わりました。新規事業部門の技術責任者として、エンジニアが活躍できる組織づくりにも取り組みました。

その後は、AI・IoTなどの先端技術に興味があったため、その領域で勢いのある株式会社スカイディスクにCTOとしてジョインしました。福岡に移住する決断もこのタイミングでしたね。約1年後、スカイディスクを離れ、副業で関わっていたサーキュレーションに取締役CTOとしてジョインし、エンジニア組織の構築を担当しました。

  • ミイダス時代

インテリジェンス時代に力を注いでいたミイダスという転職サービスを、共に開発していたメンバーから連絡をもらったことがきっかけでした。ミイダスは飛躍的に成長しており、エンジニアチームも70名を超える規模になっていました。このタイミングでエンジニア組織をまとめる人材を採用して、よりサービス開発を加速させたいという話をいただきジョインすることにしました。CTOとしてまずは開発組織のビジョンをつくり、そこからマネジメント体制やメンバー育成の仕組み、エンジニアが挑戦できるミッションづくりを行いました。

その過程の中で「より幅広い組織に対して、自分のこれまでの経験を発揮して貢献したい」という思いが強くなり、ミイダスを離れて起業することにしました。

──  これまでのキャリアの中で一番印象に残った出来事はありますでしょうか。

人生を変えてくれた人との出会いが3人います。1人目は長井さん(現アールナイン社の代表)です。彼と出会えたことで、世界がとても広がりました。一緒に就活支援団体を立ち上げたり、新規事業を立ち上げたり、本当に多くのことを学ばせていただきました。様々なことにチャレンジする姿を見て、私自身がチャレンジをするきっかけを与えてくれました。2人目はサイバーエージェントの横井さんです。サイバーエージェントに個人で作ったシステムを売却したのですが、私がmixiで公開していたのを見つけて連絡をくれたのが横井さんでした。彼女との出会いがなかったら、私の人生は大きく変わっていただろうと思います。3人目は、宮川さん(株式会社ガクーの代表)です。彼とは共通の知人を通じて知り合い、内定塾を一緒に立ち上げることになりました。彼からは、ビジネス的な視点を多く学び、自身の人生に大きな影響を与えてくれました。この3人の出会いが私の人生を変えてくれたと感じています。

 

ホライズンテクノロジー株式会社 創業

── ホライズンテクノロジー株式会社を創業するまでの経緯を教えて下さい。

きっかけは、株式会社CONOCの代表である山口さんと出会い、CONOC社の技術顧問に就任したことでした。当時、ミイダスのCTOと並行してCONOC社で技術顧問も務めていました。次のステップを考えていた時期に、CONOC社のCTOが辞めるタイミングでCTOとして声をかけていただきました。しかし、自分自身が様々な会社で力になりたいという思いがあったため、社外CTOとしての活動を始めました。社外CTOとしてさまざまな相談を受け、仕事が増えてきたため、メンバーを採用していきました。その過程の中で、会社として活動することでより多くの組織に価値を提供できると思い、また福岡でチャレンジする人がたくさんいる会社はあまりないなと感じ、起業を決意しました。

── 創業当時、苦労したことや良かったことなどあれば教えてください。

苦労はあまりありませんでした。むしろ、たくさんの良いことがありました。その中でも、一緒に働きたいと思えるメンバーに囲まれて仕事ができることは本当に嬉しいですし、毎日会社に行くのが楽しいです。

── 現在の大谷さんの業務内容を教えて下さい。

現在は、主にクライアントワークに7割の時間を費やしています。技術顧問や開発プロジェクト責任者などの役割を担当しています。残りの3割は、社内のメンバーの相談に応じたり、社内制度の策定に携わったりしています。

現在のエンジニア組織について

── 現時点の組織体制や人数を教えて下さい。

役員を含め、社員が12名、アルバイトが10名、業務委託が7名の合計30名ほどの組織です。チームは分かれておらず、クライアントのプロダクトや事業に応じて関わるメンバーを柔軟に調整し、さまざまなことに挑戦できるように工夫しています。

── 管理面では、PMの方もいらっしゃるのですか?

はい。PM的な動きをしているのは3名いますね。実は、未経験で事務から入社した方も、私やエンジニアの動きを見て興味を持ち自ら志願し、成長してPMになったりしています。本当に弊社には素晴らしいメンバーが集まっていると感じます。

── 素晴らしいですね。その環境も提供できていること自体もすごいと思います。何か工夫されていることはありますか?

そうですね。難しいチャレンジでも少しずつ難易度を上げながら、伴走しながらメンバーの成長を支援しています。また、社内では定期的に勉強会を開催しています。プロジェクトマネジメントやエンジニアリングのスキルについての勉強会など、さまざまなテーマで開催して、メンバーの興味を広げる機会としています。弊社には顧問として業界トップクラスのエンジニアがいるので、メンバーが学習できる機会を積極的に設けるようにしています。

── インターン生の採用について経緯を教えてください。

最初は全く考えていませんでしたが、求人媒体で事務職を募集してみたところ、たまたま学生の方が応募してきました。実際にお会いしてみると、非常に優秀でしたので、試しにインターンを開始することになりました。採用した学生は、すごい頑張りを見せてくれ、成果も出してくれましたね。この経験から、お互いにとって良い取り組みだと感じ、インターン採用を積極的に推進することにしました。また、九州大学付近にもう一つのオフィスがありますが、そちらは学生向けのオフィスとして利用されています。

── インターン生に対してはどのようにマネジメントされていますか?

方針として、あまりマネジメントし過ぎないようにしています。もちろん、取り組むべきミッションは提示しますし、質問や相談などには適宜対応します。その一方、自由な発想で業務に取り組んでもらうようにし、自ら考えてトライして成果を出せるようにしています。その結果、実務でもインターン生はバリバリ活躍してくれていますね。

── 現在のエンジニア組織の良い点(特徴や魅力的なところ)と課題点(ここを改善すればもっと良くなるなど)がありますか。

メンバー同士の仲が良く、助け合いの文化が浸透していると感じています。与えられたミッションだけでなく、他のメンバーが躓いたり、プロジェクトが佳境にある場合にも、お互いにサポートし合っています。このような相互サポートの姿勢が、良好な関係性を築き、みんなで協力しながら成長していこうという一体感に繋がっていると思います。

課題点としては、メンバーが増えてきたのに対して、評価制度やマネジメント体制がまだ未整備なところです。また、業務においては、もっとメンバーに任せる部分を増やしていきたいと考えています。今後の目標としては、もっとメンバーに権限移譲して自走できるチームにすることを目指しています。前向きで優秀なメンバーばかりなので、チャレンジして成長できる機会をどんどん与えていきたいです。

今後の目標

人が成長し、挑戦できる組織を構築したいと考えています。すでに実現している部分もありますが、もっともっといい状態にできると感じています。より多くの人が弊社で働いていく中で成長し、より大きなチャレンジを通じてもっと成長できる。そんないいサイクルを作っていきたいと考えています。

── グロースウェル社のEQ診断でいうとどのコンピテンシーに当てはまる方と一緒に働きたいですか?もしくは今の開発組織に必要なタイプはどれにあたりますでしょうか?(図の中からお選びください)

『6:スーパーヒーロー』や『7:デリバラー』のタイプの人と一緒に働きたいです。一方で、『5:ストラテジスト』や『8:セージ』のタイプの人が活躍できるフェーズは、もう少し先かもしれません。

── 最後にどのような人と一緒に働きたいか教えてください。

チームで共に成果を上げることを好む人。さらに、ホスピタリティを持ち、お互いに協力しながら大きな目標に向かって進むことができる人と働きたいです。