松本 寛地 氏|株式会社Hacobu 正社員エンジニア/副業フリーランスエンジニア
大学卒業後、エンジニアとしてキャリアをスタート。BEENOSグループでの開発経験を経て、現在は株式会社HacobuにてフロントエンドエンジニアとしてVistaの開発・改善に従事。React/TypeScriptを中心としたユーザー体験を重視した開発に取り組む傍ら、限られた時間の中で外部のプロジェクトにも携わり、実務を通じて得た知見を本業にフィードバックしている。
松本さんのキャリアについて
── まずは、エンジニアとしてのキャリアにつながる以前、学生時代について伺います。関西学院大学に進学されていますが、それ以前にエンジニアを目指すようなきっかけはあったのでしょうか?
実はまったくなかったんです。中学・高校時代はずっとサッカー中心の生活で、部活動に打ち込んでいました。「上を目指したい」という気持ちはあったものの、実力的にプロを目指せるレベルではなくて。かといって勉強が得意だったわけでもなかったので、将来に対する漠然とした不安を抱えながら過ごしていた記憶があります。
── 高校でサッカーは一区切りをつけたのですか?
はい。大学受験に向けて、高校でサッカーは一旦終わりにしました。ただ受験には失敗してしまい、1年間浪人を経験しました。その後、関西学院大学の総合政策学部に入学しました。
── 関西学院大学を選ばれた理由は何だったのでしょう?
いろんな大学を見た中で、直感的に「ここが自分に合いそうだな」と感じたのが関西学院大学でした。キャンパスがとても綺麗だったのも印象的でしたし、兵庫という土地もすごく好きだったんです。同志社など他の大学とも比較しましたが、最終的に自分の感覚にフィットしたのが関学でした。
── 大学では、情報系への関心があったと伺いました。
そうですね。ざっくりとですが、「これからはデジタルやインターネットの時代だよな」という意識があって、情報系の分野を学びたいと思っていました。それで、総合政策学部の中でもメディア学科を選んだんです。ただ、3・4年生のゼミ選択のタイミングで、希望していた先生のゼミに入れず、結果的に数学系の先生のゼミに所属することになりました。そこからは、情報系の学びから少し離れてしまいましたね。
── その後、留学にも行かれたんですね。
はい。大学3年の終わり頃、ちょうど就職活動を意識し始めた時期に親と話をして、「今のうちにもっと経験を積んでおいた方がいいんじゃないか」となりました。英語は絶対にやっておいた方が良いという話になり、カナダ・バンクーバーにある ittti Vancouver に1年半ほど留学させてもらうことになりました。
── 留学中はどのようなプログラムに参加されていたのでしょうか?
最初の半年は語学学校で英語を集中的に学びました。その後、Sprott Shaw College の International Trade and Business Management Program に進学して、ビジネス分野を中心に勉強しました。
── 現地での生活で印象的だったことはありますか?
本当にたくさんありますが、一番大きかったのは「価値観が変わったこと」です。特に「細かいことを気にしなくなった」という点ですね。バンクーバーは実は治安があまり良くなくて、ホームレスの方も多く、変な人が街にいるのも当たり前なんです。そうした環境で過ごすうちに、周囲の言動にいちいち振り回されなくなりました。
あと、日本でも続けていたブラジリアン柔術を現地でもやっていたんですが、向こうの人って本当にストレートなんですよ。「あなたは私より弱いから、一緒に練習したくない」みたいに、ズバッと言われる(笑)。日本だと、多少なりとも情けで付き合ってくれたりしますが、そういう文化の違いも含めて、多くの学びがありました。
── 授業の内容についてはいかがでしたか?
プログラムでは会計や貿易など、ビジネス系の科目が中心でした。情報系の内容はなかったんですが、物流の仕組みについても学ぶ機会がありました。これは、今所属している株式会社Hacobuの事業と重なる部分もあって、振り返ると大きな意味があったなと感じています。
── カナダから帰国し、復学後は1年で大学を卒業されたと伺っています。そこからエンジニアとしてのキャリアを歩むまでのきっかけを教えてください。
帰国後、自分が何をしたいのかを改めて考えたとき、「世界で通用する会社でグローバルに働きたい」という想いが浮かびました。当時、ファッションが大好きだったこともあり、アーバンリサーチで販売のアルバイトをしていて、「アパレルで接客業もいいかもしれない」と考えていた時期でもあります。
実際、就職活動ではユニクロから内定もいただきました。ただ、その頃はアパレル業界に対する不安も感じていたんですよね。ちょうどその頃、プログラミングスクールが流行り始めていて、「就職までの間に新しいことに挑戦してみよう」と思い、親に相談して3ヶ月のスクールに通うことにしました。通い始めたのは、たしか9月頃だったと思います。
── 実際にスクールで学んでみて、どうでしたか?
めちゃくちゃ楽しかったです。最後にチーム開発の課題もあって、同期10人くらいで一緒に取り組んだんですが、私以外はみんな社会人経験のある転職希望者ばかりで、私だけが新卒という環境でした。でも、教え合いながら和気あいあいとした雰囲気で、本当に毎日が楽しかったです。
プログラミングに触れるのは初めてでしたが、コードを書くのが純粋に楽しくて。「これを仕事にできたらいいな」と思うようになったのは、この時期だったと思います。
── そこから就職活動はどのように進めていったのでしょうか?
当時はすでに12月で、ほとんどの企業が新卒採用を終えていたタイミングでした。なので、通年採用を行っている企業を探すところから始めました。Wantedlyがちょうど盛り上がっていた時期だったので、新卒・中途を問わず、気になる会社にはとにかく自分で応募しまくって、たくさんの企業と面接していました。
ちなみに、プログラミングスクールでも就職支援の斡旋はあったのですが、紹介されるのはSES系や受託開発の会社が中心で…。私は「絶対に自社開発の会社で働きたい」という気持ちが強かったので、自力で探す道を選びました。
── 最終的にBEENOSへの入社を決めた理由は何だったんですか?
実はBEENOSに応募した時は、会社のことをよく知らなかったんです。でも面接を受けたあとに、「あれ、ここって昔使ったことあるサービスの会社だ」と気づいて(笑)。
というのも、カナダ留学中に「転送コム」というサービスをよく利用していたんです。日本の商品を海外に住んでいる人に届けてくれるサービスで、日本でしか買えない洋服などを手に入れるために本当に重宝していました。その転送コムを運営していたのが、BEENOSグループの一社だったと知って、一気に気持ちが固まりました。
最終面接ではBEENOS代表の直井さんとお話しさせていただいたのですが、すごくスケールの大きなビジョンを語ってくださって。その熱量に圧倒されながらも、「この会社で働きたい」と強く感じたのを覚えています。
エンジニアキャリア スタート
── BEENOSでは2019年4月からエンジニアとしてのキャリアをスタートされたんですね。入社当初はどのような環境でしたか?
はい。実は私はBEENOS初の新卒エンジニアだったんです。そのため、研修カリキュラムなどもなく、私を含めた5人のエンジニアで「これ勉強してみようか」「こういう内容にしよう」と、手探りで3ヶ月間の研修プログラムを作りながら学んでいきました。
その後、半年ほどかけてグループ内の複数部署をローテーションで回り、最終的に配属先を決める制度がありました。私は最終的に Buyeeの関連部署に配属されました。
── 実際の業務内容について教えてください。
一応フロントエンドチームに配属されたのですが、実際にはJavaScriptでのロジック設計など、システムの裏側を担当する業務が中心でした。画面を華やかにするようなUI部分というよりは、裏方の処理をゴリゴリ書くような感じでしたね。
直属の上司はインドネシア出身の女性エンジニアで、技術力も人柄も素晴らしくて。彼女のおかげで、今の自分があると言っても過言ではありません。本当にたくさんのことを学ばせていただきました。
業務委託の方が多いチームの中で、正社員は私ともう一人だけという環境だったのですが、エンジニアとしての姿勢や、学び続ける姿勢の大切さを身をもって教えていただきました。1年半という期間でしたが、自分にとって非常に濃密で、大きなターニングポイントでした。
── BEENOSでの経験を経て、次のキャリアとしてHacobuに入社された経緯について教えてください。
BEENOSグループ内のBeeCruiseという会社で半年ほど働いたのですが、そこで初めてフロントエンド開発──Vue.jsやNuxt.jsを使った開発に携わりました。それが本当に楽しくて、「もっとこの領域を深めていきたい」と思うようになったんです。
その後、転職活動をしていたとき、たまたまconnpassでHacobuのイベントを見つけて参加しました。すると、イベントの参加者リストを見たHacobuの方から声をかけていただいたんです。
実はHacobuとは新卒の頃にも一度接点がありました。当時、Wantedlyで中途採用の求人に間違えて応募してしまい、面接まで進んだものの不採用に。ただ、そのときの面接を担当してくださった人事の方が「人柄が良かった」と覚えていてくださって、私がBEENOSで働くことになって東京に引っ越したタイミングで「東京に来たらご飯でも行こうよ」とお誘いいただき、そのときに太郎さん(代表)たちともご一緒し、楽しく食事をしたことがありました。
そういった背景があったからこそ、イベントの参加をきっかけに再びご縁がつながったんだと思います。
── 面接は落ちたのに、ご飯に誘われたんですね?
そうなんです(笑)。浜松町で、代表の太郎さんやCTOの戸井田さんを含めた5人で食事をさせていただいて、すごく話が盛り上がりました。その時の印象がずっと残っていてくださったようで、しばらく経ってから「最近どう?」と連絡をもらったんです。
ちょうど私も転職を考えていたタイミングだったので、「フロントエンドをもっと深めていきたいんです」とお伝えしたところ、すぐに面接の話が進んで、トントン拍子で入社が決まりました。
── まさに“縁”がつないだ転職ですね。
本当にそう思います。最初は間違えて応募しただけだったんですけど(笑)、「とにかくやってみる」ってすごく大事だなと感じました。
── 少し話を戻しますが、BeeCruiseでGroobeeの開発に携わったとき、フロントエンドにどんな魅力を感じたのでしょうか?
それまでは裏側のサブシステムばかり担当していて、ユーザーに直接触れる画面を作ることがなかったんです。でもGroobeeでは、toB向けサービスのフロントエンドを担当することになり、「自分が作った機能がユーザーに使われて、その反応が返ってくる」という実感がものすごく新鮮でした。
「これ便利でした」「ここがちょっと使いづらかった」といったフィードバックがあること自体が嬉しくて、大きなモチベーションになりましたね。
技術的にも、当時はVue.jsとReact.jsが盛り上がっていた時期で、Vue.jsを触るだけでも新鮮で、多くの学びがありました。
── その後、Hacobuに入社されてからはどのような業務に?
Hacobuには複数のサービスがありますが、主力はシェアNo.1バース予約受付システムのMOVO Berthです。他にも Fleetというプロダクトがあり、私はその中でも新しく立ち上がったVista というプロダクトに配属されました。
Vistaは、物流現場でまだまだ多く残っている紙やFAXによる情報のやり取りを、デジタルで一元管理することを目指したサービスです。入社当時はリリースから1年ほどで、まだ売上もこれからというフェーズでした。
開発チームはPdM1人、バックエンド3人、フロント2人、QA2人という体制で、私が入った時はまだコードベースも整っておらず、まずはリファクタリングからのスタートでした。そこから地道に開発を進めていきました。
── 現時点では、Vistaはどのような状況ですか?
今ではコードベースも整ってきて、プロダクトとしても売上が順調に伸び始めているフェーズに入っています。入社当初と比べてチーム体制も整備されてきており、開発の手応えも日に日に増している実感があります。
副業・フリーランスについて
── ここからは、今回のテーマでもある“副業・フリーランス”について伺っていきたいと思います。まず、副業を始めたのは2023年6月頃とのことですが、きっかけは何だったのでしょうか?
はい。当時は、自分のキャリアがまだ浅く、これまでに経験した企業も限られていたことから、「もっと広い視点で技術に向き合ってみたい」という想いがありました。
本業の中でも日々多くの学びがある一方で、「時間外でできる範囲で、異なる環境を知ることも成長につながるのでは」と考え、空いた時間を活用して外部の案件に関わってみようと決めました。あくまで本業を第一に据えたうえで、自身の視野を広げる目的でのチャレンジでした。
── 副業を始めるにあたっては、それまで培ってきたフロントエンドのスキルを軸に探されたのでしょうか?
はい。React.jsを中心にフロントエンドのスキルがベースにありましたが、最初はスキルを活かすというよりも、単純に外部環境に触れてみたいという気持ちのほうが強かったです。
たまたまWantedlyで見つけた、Vue.jsを使っている案件に応募したところ、柔軟に受け入れていただけて、空き時間を活用して取り組むことになりました。
── 初めての副業、実際にやってみてどうでしたか?
非常に良い刺激になりました。偶然にも、ヤフーで開発部長をされていた方がその現場にいらして、その方のコードを間近で見たり、議論に加わらせていただいたことはとても勉強になりました。
とはいえ、納期や品質への責任も大きく、限られた時間で成果を出すプレッシャーも感じました。副業とはいえ、ひとつの開発責任を担う以上、常に誠実に取り組む必要があると実感しました。
結果的に、その経験は自分のスタンスや視野を見直すきっかけになり、本業での取り組みにも良い影響を与えてくれたと感じています。
── その後もいくつか副業に取り組まれたとのことですが、仕事とはどのように出会っていたのでしょうか?
副業はあくまで本業の合間を活用した学びの機会として取り組んでおり、最初の1年ほどはWantedlyを通じて案件を探していました。
本業がある中での活動だったため、エージェント経由の案件だと「平日昼間に対応できますか?」といった条件面でマッチしづらいケースが多く、一方でWantedlyには「夜や週末に対応可能な副業案件」も掲載されていたので、自分の稼働可能時間に合う案件を中心に、自ら興味のある企業にアプローチしていました。
── 当時関わっていた企業の規模や業種には、何か傾向がありましたか?
比較的小規模な企業が多く、社員数2〜3人規模のスタートアップや立ち上げフェーズの企業が中心でした。そうした企業はまだIT体制が整っておらず、「これから開発組織を強化していきたい」という段階にあることが多かったため、限られた時間の中でも貢献できる余地がありそうだと感じたのが理由です。
もちろん、本業とは異なるフェーズの現場に携わることで、業務プロセスや技術選定の違いを実感する機会にもなり、結果的に自分の視野や考え方が広がったように思います。本業での取り組みに対する理解もより深まり、補完的な経験として良い相乗効果があったと感じています。
ハード/ソフト面に関する質問
── 趣味や興味関心についてもお聞かせください。
もともとサッカーが好きで、試合観戦などもよくしています。ただ最近は、将棋にかなりハマっています。きっかけは3年ほど前、シェアハウスで一緒に暮らしていた友人たちに誘われて指し始めたことでした。
最初は完全に遊び感覚だったのですが、負けるのが悔しくて少しずつ勉強しはじめ、気づけば自分が一番熱中していました(笑)。周囲の友人はやめていったのですが、僕は今もずっと続けています。
── X(旧Twitter)にも、よく将棋について投稿されていますよね。
はい。最近では一人で将棋会館に行って、子どもやお年寄りと道場で指すこともあります。年齢や立場を超えて交流できるのが、将棋の面白さのひとつですね。
また、YOUTRUST上で将棋のコミュニティのオーナーも務めています。きっかけは「IT×将棋」をテーマにしたイベントで、YOUTRUSTのエンジニア・寺井さんと出会ったことでした。そこからご縁がつながって、今も楽しく続けています。
── 業務面では、現在どのような技術分野に関心がありますか?
もともとフロントエンドが得意領域なので、まずはこの分野をさらに深めていきたいと考えています。特に本業ではReact.jsとTypeScriptを用いた開発を中心に担当しており、日々、設計や実装の精度を高めていくことにやりがいを感じています。
将来的には、例えば、本業でも使用するバックエンド(Go言語)やインフラ(AWS)といった領域にも少しずつチャレンジし、より全体像を理解したうえでプロダクトに貢献できるエンジニアを目指していきたいと思っています。
── 実際の開発業務では、どのような技術を使っているのでしょうか?
本業ではReact.jsとTypeScriptを中心としたフロントエンド開発に従事しており、ユーザー体験を意識したUI改善や継続的なコードの保守にも取り組んでいます。
また、個人学習の中ではNext.jsやRemix、Node.jsなどの技術に触れたり、一時期は社内にデザイナーがいなかったタイミングで、Figmaを用いてデザインから実装まで一貫して担当した経験もあります。そうした経験も踏まえつつ、本業により高い精度でフィードバックしていけるよう意識しています。
── かなり幅広い領域をカバーされていますね。中でも特に得意とされているのは?
やはりReact.jsとTypeScriptを用いたフロントエンド開発が最も得意です。本業での経験がベースになっていることもあり、設計・実装・保守まで一通り自信を持って取り組める領域だと感じています。
今後もこの分野を軸に、着実に深めながら技術の幅を広げていきたいです。
── 副業では、技術選定も任されていたと伺いました。
はい。以前関わらせていただいた案件では、少人数体制だったこともあり、PMの方と一緒に技術スタックについて相談する場面がありました。保守性やシンプルさを意識して、「今回はNext.jsは使わず、より扱いやすい構成にしよう」といった方針を立てた記憶があります。
こうした経験も、本業ではなかなか得られない視点を知るきっかけにはなりましたが、あくまで限られた時間でのサポートという立ち位置での関わりでした。
── 現場での開発において、特にこだわっていることや意識していることはありますか?
「全部自分で作らないこと」ですね。再利用できるものを積極的に活用し、コードは誰が見ても理解しやすく、保守性が高いことを意識しています。特に本業では、複数人での開発体制の中でその重要性を実感しています。
── プロダクトのコードが整っていない現場では、どのように対応していますか?
まずはその現場に合わせた形で実装に入り、少しずつ慣れていくようにしています。ある程度全体像がつかめてきたら、「こうしたらもっと分かりやすくなりそうです」といった形で改善の提案をすることもあります。
特に小規模な開発現場では、短期的なスピードと長期的な保守性のバランスが大事だと感じていて、本業での経験がこうした場面でも活かされていると思います。
── 副業で新しい現場に入る際、まずどのように進め方を理解しているのでしょうか?
初期フェーズでは、まずPMや関係者に「どのような進め方をされていますか?」と丁寧にヒアリングするようにしています。ドキュメントの確認と同時に、信頼関係の構築も重視していて、限られた時間の中で認識のズレが起きないよう、細かな報連相も欠かさないようにしています。
副業では時間が限られているからこそ、丁寧なコミュニケーションと責任感を持った対応を意識しています。
── 副業と正社員、それぞれの違いについてどう捉えていますか?
正社員の良さは、やはり長期的にプロダクトと向き合える安心感と責任の重さです。本業では腰を据えて改善に取り組める体制が整っており、仕様や設計の背景も深く理解したうえで開発できることに大きなやりがいを感じています。
一方で副業は、新しい技術や人との出会いを通して、短期間で刺激を得られる場でもあります。ただし、副業の経験も本業に活かすことを前提にしており、あくまで主軸はHacobuでの取り組みです。
── 副業で特に苦労したエピソードはありますか?
少し前に、社員2名体制の企業にお声がけいただいたことがありました。仕様もドキュメントもなく、10年以上前に書かれたコードをリプレースするという案件で、何から手をつけていいか分からない状況でした。
結果的にリプレースには至らなかったのですが、社長との価値観のズレもあり、「SEOを最優先にするからNext.jsは必須」と譲られず、当時の自分の技術的な理解不足もあって、コミュニケーション面の難しさを痛感しました。そうした経験も、本業でのチーム連携のありがたさを再認識するきっかけになっています。
── どのような環境にやりがいを感じますか?
ゼロからプロダクトをつくるフェーズは、やはり刺激的で学びが多いですね。副業では初期プロダクトを引き継いだり、簡易な技術選定に関わらせていただくこともありますが、あくまで短期的な関与の中で見聞を広げる機会と捉えています。
一方、本業ではすでに一定の基盤が整っているプロダクトに対し、継続的な改善やチーム全体での設計品質向上に取り組める環境があり、より本質的なプロダクトづくりの醍醐味を日々感じています。
── 副業と本業、それぞれどのようにバランスを取っていますか?
本業を最優先にすることは常に意識しています。基本的には日中〜夜までは完全に本業に集中し、たまに昼休みなどにSlackを軽く確認することもありますが、業務が混在しないよう徹底しています。
副業を始めた初期は、頭の切り替えがうまくできず本業への集中が散ってしまうこともありましたが、それを反省して、現在はカレンダーなどで稼働時間を明確に分け、本業・副業ともに支障が出ない形で運用しています。
また、副業先とのコミュニケーションにおいても、対応時間や稼働の優先順位についてきちんと説明し、無理のない関わり方を徹底しています。
── 今後チャレンジしてみたい分野や業界があれば教えてください。
王道ではありますが、AI関連の技術やプロダクトには強い関心があります。これからの時代において、AIが社会やビジネスの課題解決にどう貢献していくのかを、現場目線で学んでいきたいと思っています。
また、今も取り組んでいるような「現場の泥臭い課題に向き合うDX」の分野にも引き続き関心があります。たとえば、LayerXさんやnewmoさんのように、実際の業務プロセスの中に深く入り込み、技術の力で改善していくような姿勢にはとても共感しています。
特に本業でも、物流というリアルな現場とテクノロジーをつなぐプロダクトに関わっているからこそ、実務に根ざした技術活用の面白さや意義を日々感じており、今後もこうした領域で価値を発揮していきたいと考えています。
PR・今後について
── 最後に、ご自身の強みや、今後の目標について教えてください。
少し変わった言い方かもしれませんが、自分で言うのもなんですが、「嫌われたことがない人生だったな」と思っています(笑)。
人当たりの良さや、相手に安心感を与えるコミュニケーションは、自分の強みだと感じています。それがこれまで、どんなチームや現場でもスムーズに仕事を進めることができた一因でもあると思っています。
もちろん、技術力を磨くことも大切にしていますが、それ以上に「一緒に働きたい」と思ってもらえる存在であることに価値があると考えています。
もう一つの強みは行動力です。これまで、「よくわからないけど、まずやってみよう」と飛び込んできた結果、多くの経験と出会いに恵まれてきました。そうしたスタンスが、自分のキャリアの原動力になっています。
今後の目標としては、これまでの経験を活かして自分自身でプロダクトを立ち上げてみたいという想いがあります。また、エンジニアリングに限らず、よりビジネスに近い領域での経験も積んでいきたいと考えています。
たとえば、営業やマーケティングといった領域にも一定の関心があり、ビジネス側の視点を持ちながら開発に取り組めるようなエンジニアを目指したいと思っています。
今後も、技術を軸にしながら、領域を越えて価値を発揮できる存在を目指して、一歩一歩積み重ねていきたいです。