ママの3人に1人が利用する「ママリ」のCaptainとCTOが語るテクノロジーと事業への想い!

伊藤 翔氏|コネヒト株式会社  取締役兼Captain

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、金融系のSIerやWeb系の開発会社でソフトウェアエンジニアの研鑽を積んだ後、Supershipに入社。2017年にグループ会社のコネヒトに出向し、2019年にCTOへ就任。現在は取締役兼Captainとして技術面にとらわれず、会社のビジョンや文化、プロダクトの担い手としてコネヒトをリード。

永井 勝一郎氏|コネヒト株式会社  CTO

日本大学法学部を卒業後、新卒でシステムコンサルタントとしてキャリアをスタートし、さまざまな業界でシステムの開発/運用を経験。その後、株式会社一休で、インフラエンジニアとして「一休.com」の開発/運用に取り組む。2017年5月にコネヒトにジョイン。コネヒトでは、インフラエンジニアとしての業務をメインに、データや機械学習といった分野にも幅を広げる。テクノロジーで事業や組織を成長させることを自身のミッションとし、機械学習チームやテクノロジー推進部の立ち上げを行い、リーダーや部長を経て、2023年10月からCTOに就任。

コネヒト株式会社について

コネヒトは、次のようなビジョンを掲げる会社です。我々は「あなたの家族像が実現できる社会をつくる」ことを目指しています。中長期目標として、子供を産む家族の多様性を尊重し実現させるために日々事業を展開しています。当社の主力事業は、妊活・妊娠・出産・育児に関する情報サイト・Q&Aアプリ『ママリ』の運営です。現在、ママの3人に1人(※)が「ママリ」を利用しています。

伊藤さんと永井さんのキャリア

※伊藤さん(左)永井さん(右)

伊藤さん私も学生時代はめちゃくちゃパソコンを触っていたわけではありませんでした。大学入学するまで結構な田舎で育ち、都会への憧れが強かったです。東京に行きたいという思いを持ち、雑誌や本をよく読んでいました。結果として、幅広く色々なことを学ぶことができる文理融合の要素が強い学部がある慶應義塾大学に進学しました。

永井さん:私はスポーツ少年でした。小学校から高校卒業まで、ずっと部活動でサッカーに熱中していました。他のエンジニア出身の方のように、学生時代はパソコンに触れる機会はあまりありませんでした。大学もIT関連の学問ではなく、日本大学法学部に進学しました。

伊藤さん:元々大学で映像制作やメディアデザインを学んでいたので、広告代理店や制作会社を希望していました。しかし、私の世代の就職活動の時期がリーマン・ショックが起こった時期であり、多くの企業が途中から新卒採用を行わなくなりました。特に広告系の会社は間口が狭まりました。このような背景があったため、もう少し幅広く他の業界も受けてみようと考えるようになりました。昔からモノづくりには興味があったので、IT系の企業も選考を受け始めました。結果として、スケールの大きいことにチャレンジしたいという思いもあり、金融系のSIer企業である日新ビジネス開発株式会社に入社しました。

永井さん:文系出身でしたので、新卒で株式会社ベイカレント・コンサルティングに入社しました。入社後、配属先が決定するのですが、これが大きな分岐点でした。システムコンサルタントとビジネスコンサルタントに分かれ、私はシステムコンサルタントに配属されました。3ヶ月の研修期間を経て、本格的にプログラミングを学ぶことになりました。この経験が私のエンジニアキャリアのスタートでした。

伊藤さん:一社目、日新ビジネス開発株式会社では、銀行などに常駐してスケールの大きい案件を経験させていただきました。やりがいもあったのですが、規模の大きい案件ということもあり、分業が当たり前で設計、開発、テストなどに担当が分かれていました。私は、その中では設計の担当になることが多かったのですが、せっかくエンジニアになったので実装の仕事を増やしていきたいと思い始め、転職を決意し、ネオス株式会社に入社しました。Webエンジニアとして入社しましたが、Web開発以外にもスマホ開発など幅広く開発に携わらせていただきました。また途中からテックリード的な役割も担い、技術選定なども行っていました。ネオスは自社開発と受託開発が半々ほどの割合で自社開発にも関わりました。自社開発に関わっていく中で、自分で事業を作るのは楽しいだろうと思うようになり、事業会社で優秀なエンジニアも多く集まっているSupership株式会社に転職しました。バックエンドエンジニアとして入社し、Q&Aサービスやnanapiというメディアの開発をメインに担当して途中からエンジニアリングマネージャーも担っていました。

永井さん:一社目、株式会社ベイカレント・コンサルティングでは、システムコンサルタントとして案件に関わっていました。そのため、主にインフラ案件を担当しました。しかし、3年間の勤務中に、案件への継続的な関与が難しいことに歯痒さを感じました。特に、プロパーと外部委託先ではインフラに関わる権限が異なり、これが課題でした。そのため、事業会社での新たな挑戦を求め、株式会社一休に転職しました。入社当初は、Webシステムに関する知識が圧倒的に不足していたため、自社サービスの運営に必要なスキルを習得するために努力しました。一休は当時まだ小規模であり、社長やビジネスメンバーとエンジニアの距離が近い環境でした。この環境で、様々な経験を積むことができました。7年間の在籍中には、インフラ領域において広範な知識を身につけ、OSSを利用したインフラ構築やオンプレミスからクラウドへの移行などのプロジェクトにも携わりました。

伊藤さん:Supership時代にいくつかのサービスのクローズを経験しました。非常に悔しい思いもありましたが、学びも非常に大きかったです。ユーザー数も一定あり、多くの方に利用いただいていましたが、それだけでは事業は成立しないことを痛烈に感じました。私はユーザーのために開発をすることが好きで、事業会社に入社してきましたが、それだけでは会社として事業が成立しないことを認識しました。この経験は、今のコネヒトでも常に意識しています。

永井さん:一休時代の上司や仲間には非常に恵まれたと思っています。自分でいうのもあれですが、スキルが圧倒的に不足していたので、結構私を育てるのは大変だったろうなと思います。エンジニアとしてはもちろんですが、事業会社で働くということを徹底的にロジカルに教え込まれ経験させてもらいながら、適度なストレッチ目標で引き上げてもらったことに感謝しています。今でも1年に1回程度、その時の上司や仲間とは連絡を取り合っていますね。

伊藤さん:Supershipからの出向が、私がコネヒトに入るきっかけとなりました。Supershipでのサービス終了の時期と重なり、次のステップを模索していた時に、出向の話が持ち上がりました。コネヒトのサービスは、明確な価値を持っていると感じ、一度オフィスを訪れて社内を見学しました。その時、社内ではワークショップが開催されており、会社のミッションやママリのサービスの意義について議論されていました。その光景を目にし、全てのメンバーが真剣に取り組んでいる姿に魅力を感じ、出向の話を受け入れることにしました。

永井さん:コネヒトの初代CTOである島田(2019年に退任)とWantedlyを通じてのご縁で出会ったのがきっかけです。出会ってからは、一定の頻度で連絡を取り合い、1年ほどの間、交流を続けていました。当時は転職活動を行っているわけではありませんでしたが、3ヶ月に1回程度のペースで、ミッションや開発組織について詳しくお話を伺う機会がありました。また、他のメンバーとも会って実際に働いている方々の雰囲気も知ることができました。一休に残るか、それともコネヒトに転職するか、という二つの選択肢の中で、最終的に新しい環境でチャレンジしてみることを決断し、コネヒトに入社しました。

コネヒト株式会社 入社後

伊藤さん:入社直後、2つのプロジェクトに取り組みました。1つ目は、ママリのアプリをWebviewからネイティブアプリに移行するために、バックエンドでAPIを一から作るプロジェクトに参加しました。約1年間、ひたすらWebAPIの開発に取り組みました。もう1つは、WebAPIへの移行に伴い、管理するアプリケーションが増え、データベースのスキーマ管理コストが増えてきたため、Ridgepoleの導入を行いました。

永井さん:インフラエンジニアとしてジョインし、開発環境の重さという課題に取り組みました。当時、Vagrantを使用していましたが、開発環境と本番環境の両方をDockerに入れ替えるプロジェクトに半年ほど取り組みました。新しい環境への移行は、周囲のメンバーの抵抗も覚悟していましたが、伊藤を含む開発チームのメンバーは非常に前向きで協力的でした。私自身もコンテナに関する知識が乏しかったため、メンバーと一緒に学びながらコンテナ化し、本番環境まで一貫して入れ替えることができました。このプロジェクトは非常に良い成功体験でした。

伊藤さん:初代CTOの島田が退任するタイミングで、島田と食事に行きました。その際に辞める話とCTOの打診を受けました。辞める話も知らなかったので、打診の話も含めて二重に驚きましたね。島田は技術者としても優秀でエンジニアメンバーからも慕われていたので最初は引き受けるのは大変そうだと思いましたが、CTOはなりたくてもなれるポジションでもなく、島田が私を任命してくれたのでチャレンジしようと引き受けることにしました。それから3年ほど採用やテックビジョンを作っていき、成果も実感してきました。事業として成果を出すという話に紐づきますが、改めてCTOとして3年間振り返り、今後のことを考えた時に片手落ちの状態でしたのでプロダクトやサービスによりコミットするためにCPOに就任しました。就任後からプロダクト戦略策定などプロダクトマネージャーと一緒に進めていきました。プロダクトマネージャーが一人立ちできるようになったり、経営体制が変ったタイミングで、中長期のビジョンや会社としての方向性を示していくために現在のキャプテン(詳しくはこちら『コネヒトの「キャプテン」になったけど、そもそもキャプテンってなに?』)に就任しました。

永井さん:インフラエンジニアとしての課題解決の後は、機械学習のサービスの実現のために、当時入社した機械学習エンジニアの方と共に学びながら取り組みました。技術を起点にサービスを作る独立部隊のマネージャーを担い、最終的には、プロダクトグループとテクノロジー推進グループが統合するタイミングでその統合したグループ全体の開発部長に就任しました。元々二つのグループが分かれていたため、若干のヒエラルキーの調整が必要でしたが、それを融合させるよう努めました。その後、伊藤からCTOの打診を受けた時、最初は、自分が思い描いているコネヒトのCTO像とギャップがあると正直に感じました。これまでのCTOは事業よりの方が就任しており、私は機械学習やインフラなど技術よりのタイプだったためです。その思いを伊藤に伝えたところ、『技術を活かしたアプローチでしっかりと会社を伸ばしていくことを期待している』と返答され、それならCTOチャレンジしようと考え、承諾しました。

伊藤さん:経営の仕事が全体の5割から6割を占めており、主に中長期のビジョンや会社としての方向性を示しています。残りの4割は、プロダクトマネージャーのマネジメントやプロダクトを今後どのように伸ばしていくかについて、PdMと協力して考えたりしています。

永井さん:現在、私の業務の約50%は、個人および組織のマネジメントに関わるものです。今期から一部事業の責任者も担うことになり、新たな分野に対する理解を深めるため、日々学び続けています。さらに、経営チームの一員として、経営に関連する業務にも約30%の時間を割いており、残りの20%は技術マネジメントに注力しています。

現在のエンジニア組織について

エンジニア開発組織は、全体で約30名のメンバーで構成されています。そのうち10名は業務委託の形態で働いています。組織は複数のグループに分かれており、それぞれのグループは特定の事業に関連しています。各グループでは、PdMが中心となって開発を進めています。進め方は各グループで決定しておりますが、基本的にはスクラム開発を採用しています。

弊社の開発チームは、「いかに素早くユーザーに価値を提供できるか」という目標を常に念頭に置き、アジャイル開発手法を採用しています。このアプローチにより、小規模ながらも、ユーザーフィードバックを速やかに取り入れ、価値あるプロダクトへと迅速に進化させるイテレーションサイクルを確立しています。また、エンジニアだけでなく、さまざまな部門のステークホルダーをスプリントレビューに積極的に参加させることで、多様な視点をプロダクト開発に取り入れ、企業全体でのプロダクトオーナーシップを育んでいます。

課題点としては、難易度の高い問題を個々の技術力で解決する機会が少ないことがあります。ビジネスの要求に応えることは基本ですが、同時に問題解決のプロセスをより洗練させ、よりエンジニアが技術的な成長を感じ取れる環境を整備していきたいと考えています。

今後の目標

短期的には、エンジニアリングやテクノロジーを使ってプロジェクトを伸ばすことが目標です。短期から中長期的には、生成AIには非常に可能性を感じているので、コネヒトでもプロジェクトを立ち上げて非エンジニア以外のメンバーも使えるような状態に整え、新たな価値を創造し、組織全体の成長を促進していきます。

技術力の向上を図っており、『1:サイエンティスト』や『6:スーパーヒーロー』のような優れたエンジニアを求めています。現在の組織では、事業に成果をもたらす『7:デリバラー』や新しいアイデアに積極的に取り組む『3:インベンター』が多く活躍しています。

反対に、細かい管理を行うようなマネジメントスタイルではないため、『4:ガーディアン』の方は適していないかもしれません。

得意な領域や自身の仕事に関する考えを明確に表現できる方や、フィードバックを受け取りながら更に前進できる柔軟性を持った方と一緒に働きたいです。

またコネヒトでは、データをビジネスに活かすことに大きな価値を見出しています。技術を駆使してデータを有効活用し、ビジネスにつなげていくことは非常に魅力的です。例えば、データを活用した事例でお伝えすると『家族ノート』というサービスがあります。このようにデータを活用して事業を成長させるために共感いただける方と一緒に働けることを望んでいます。