咸 多栄 氏|bgrass株式会社 代表取締役CEO/ CTO
大学卒業後、独立系SIerにエンジニアとして入社。新規事業の立ち上げやグローバル案件を経験し、その後Web系企業に転職。旅行系サービスの開発に携わる。27歳でフリーランスとして独立し、その後法人化。個人開発としてスタートした女性エンジニア向けのメンターマッチングサービス「sister」がきっかけとなり、bgrass株式会社を創業。現在は、女性向けITキャリア転職サイトWAKE Career」を運営し、ジェンダーギャップ解消を目指し、女性の支援を通じて社会構造の変革に挑む。
bgrass株式会社について
── 御社の事業内容を教えて下さい。
bgrass株式会社は、女性向けITキャリア転職サイト「WAKE Career」を運営しています。
当社は 「なりたい」を解放する をビジョンに掲げ、テクノロジーの力でバイアスによる格差をなくし、誰もが自分の「なりたい」を実現できる社会を目指しています。
また、ミッションとして 「テクノロジーとコミュニティでダイバーシティを実現する」ことを掲げています。現在は、女性のキャリア課題の解決に注力し、より公平な社会の実現を目指しています。ジェンダー格差の解消には、現在のペースでは200年かかるとされています。最近のデータでは、300年[*] かかるという試算もあります。
私たちはテクノロジーの力を活用し、この時間を50年、あるいは40年へと短縮し、次の世代へしっかりとバトンを渡せる社会をつくりたいと考えています。
咸さんのキャリア
── まずは幼少期のお話からお聞きしたいです。
そうですね。小学生の頃は、一人で行動することが多いタイプでした。決して「一人が好き」というわけではなく、単に友達を作るのが得意ではなかったんです。例えば、小学校の自由研究も、他の子たちはグループで取り組んでいましたが、私は一人で研究し、一人で発表していました。でも、それを寂しいとは思っていませんでした。
当時、私は韓国人というアイデンティティを持ちながら日本で育っていたため、周りとは少し異なる感覚を持っていたと思います。マイノリティとして「私はみんなとは違うんだな」と無意識的に意識していましたし、それが私の性格や行動にも影響を与えていたのかもしれません。
── 中学・高校時代はいかがでしたか?
中学までは、いわゆる優等生タイプでしたね。勉強も得意でしたし、学級委員長も務めていました。でも、中学3年生のときに、それまで抑えていたものが一気に爆発し、大きく方向転換することになりました。
学校には通っていましたが、少し自由に振る舞うようになり、授業を抜け出して遊んだりすることもありました。そのまま公正することなく通信制の高校に入学しました。そんな中で、父が亡くなったことが大きな転機となりました。それを機に自分自身を見つめ直し、「このままではいけない」と強く思うようになったんです。
もともと根は真面目だったので、「すぐに働くのではなく、大学に進学することが、母と妹を守ることにつながる」と考え、高校2年生から真剣に勉強に取り組みました。ただ、当時は通信制高校に通っていたため、周囲からは「大学進学は難しい」と言われていました。それでも、私は自分だけは信じていたんです。
結果的に、無事に大学に合格することができ、周りに無理と言われても、自分が信じることを成し遂げる力の強さを学びました。今の仕事の考え方にも大きくつながっています。
── 実際に大学に進学されて、どんなことをされていたのでしょうか?
私は英語を学びたい、将来は海外で仕事をしたいという思いが強かったので、現代英語学科に進学しました。もともと韓国にルーツがあることもあり、グローバル志向は強かったですね。
大学生活はとても充実していました。通信制高校時代は、社会人のような生活をしていたこともあり、「学ぶことの大切さ」を強く理解したうえで大学に通っていました。そのため、周囲の学生よりも積極的に授業を受け、英語以外にも心理学など幅広い分野を学んでいたと思います。
そして、大学時代の大きな挑戦の一つが交換留学です。当時の私は、英語のクラスで言うとDランク くらいの成績で、周囲からは「交換留学は無理」と言われていました。でも、どうしても挑戦したかったので、試験と面接に臨みました。試験の点数は決して高くありませんでしたが、面接では「やるしかない」という気持ちで挑みました。結果的に、選抜枠が1名だったところを2名に増枠してもらい、留学のチャンスを掴みました。
後に、私が留学したことをきっかけに、大学の 交換留学枠が恒久的に2名に増えたことを知りました。他の学生から「そのおかげで自分も留学できた」と言われたとき、この時の経験で「ルールは変えられるんだ」と実感しました。
── ご自身の行動が後の制度変更につながったんですね。実際にカナダでの留学生活はいかがでしたか?
最初の3ヶ月はホームシックになり、ずっと帰りたかったです。やはり現実は甘くなかったですね。
普通、留学生はホームステイ先を選ぶことが多いのですが、私は自分で調べて大学の寮に住むことを決めました。しかし、現地の文化に馴染めず、言葉も思うように話せなかったため、最初は孤独を感じていました。
そんな中、思い切って現地の大学生とルームシェアをすることに決めたんです。大学の規則では「寮に住むこと」又は「ホームステイ」(実際ホームステイが9割)とされていましたが、ルールは変えられる!ので大学に確認し許可をもらうことができました。
この決断が転機となり、一気に友人が増えました。最終的には、今でも連絡を取り合う仲間ができ、本当に価値観が変わる経験になりました。
── 大学卒業後、独立系のSIerに入社されたと伺っています。それまでの経緯や、実際に入社後に取り組まれたことについてお聞かせいただけますか?
正直なところ、「エンジニアになろう」と強く思って入社したわけではありませんでした。父親がエンジニアだったこともあり、無意識のうちにその選択肢が身近にあったのだと思います。私の周りには、韓国から来ている人が多く、そうした環境の中で育ったため、エンジニアという仕事が自然と視野に入っていました。
もともとは商社や旅行業界など、海外と関わる仕事を志望していました。その中で海外支社のあるSIerも受けていましたが、結果的に内定をもらったのがこの会社だったため、入社を決めました。
入社後は、顧客のプロダクト開発のテスト業務を担当し、Excelを使ってデータを入力するような仕事からスタートしました。その後、新規事業の立ち上げメンバーとして参加する機会を得て、IoTやハードウェア関連のプロジェクトにも関わりました。出張も多く、基本的なシステム設計からリリースまでの流れを一通り経験することができました。
── その後、転職されていますが、その経緯もお聞かせいただけますか?
2社目に転職した理由はいくつかあります。新規事業に携わる中で、「技術の世界は想像以上に広い」と実感し、加えて社会全体の構造をより深く理解できるようになったことが大きな要因でした。
そこで、より柔軟な働き方ができる環境で成長し、収入面でもステップアップを目指したいと考え、転職活動をスタートしました。
2社目に求めていたのは、働き方の柔軟性と収入の向上です。もちろん技術的な成長も視野に入れていましたが、まずは環境を変えることを優先しました。その結果、待遇の良い会社に入社することができました。
転職後、最初の仕事はグローバル案件のプロジェクトリーダーで、いきなりアメリカのチームと時差を合わせてミーティングをする日々。朝7時にアメリカのメンバーと会議し、夜10時にも打ち合わせがある… といった状況でした。正直、最初はビビりましたね(笑)。でも、なんとかやり切ることができ、そのときのメンバーとは今もつながっています。
── なるほど。そこからさらにキャリアの転機があったと伺っています。
はい。2社目の後半では保守運用の業務を担当するようになったのですが、仕事があまりにも暇すぎて…(笑)。午前中で業務が終わってしまい、考える時間が増えました。
最初は「この環境は悪くないな」と思っていました。残業もなく、給料も安定していたので。でも、「あと5万円くらい収入が増えたら嬉しいな」と思い、副業を調べるようになりました。
そこで Web制作に興味を持ち、「やってみよう」と思ったのですが、実際に挑戦してみると全然できなかったんです。友人のWebサイトを作る仕事を受けたものの、1件5万円〜10万円では割に合わないと感じました。「私は市場価値が低いんだ」と気付きました。
そこで、市場価値を高めるためによりキャリアアップできる環境に転職しようと決意しました。ただ、Web系の会社への転職は簡単ではなく、結果的に100社以上に落ちました。
── 100社も…!かなり大変な転職活動だったのですね。
そうですね。コロナ禍の影響もあり、最初は甘く見ていました。「SIerの経験があるから、未経験ではないだろう」と思っていたのですが、現実は違いました。
一次面接は通るものの、二次で落ちることが続きました。そこで、「何か根本的に変えないといけない」と思い、ポートフォリオを作ることにしました。
そのときに取り組んだのが、女性エンジニア向けのサービス『sister』 の開発でした。女性エンジニアのメンターを探したかったのですが、当時なかなか見つからず、「それなら自分でプラットフォームを作ってみよう」と考えたのがきっかけです。
結果的に、ポートフォリオを作り始めたことで技術的な知識が身に付き、会話の質も向上しました。最終的には、転職活動100社目くらいで内定をもらいました。実は、ポートフォリオを完成させる前に内定が決まったのですが、不思議と作り続けていましたね(笑)。
── 転職後はどのような業務に携わりましたか?
転職活動の条件として、「とにかく技術力を伸ばせる環境」を求めました。極端な話、ブラック企業でもいいから1年間は技術を徹底的に学ぶと決めていたんです。
入社後は、新卒メンバーと2人でWebでもスマホでも使えるアプリケーションの開発を担当しました。正直、私もそこまでスキルがあったわけではなかったので、かなり苦労しましたが、それ以上に楽しかったですね。
その後、旅行系サービスの開発に携わりました。リーダーっぽい役割を担っていて、5人ほどのチームを率いる経験もしました。このとき、社内で評価され、入社から数ヶ月で賞をもらうこともできました。
この時期が、人生で初めて 「仕事をお金のためではなく、人生の一部として楽しめた」 タイミングでした。今振り返っても、一番楽しかった時期ですね。やっぱり、仕事は人生の50%以上の時間を占めるものなので、やりがいを持てる環境を選ぶことが大事だと実感しました。
── では、ここからはフリーランス時代のお話を伺いたいと思います。どのような経緯でフリーランスになったのか教えていただけますか?
フリーランスになったのは27歳のときで、転職活動で100社以上受けたことがきっかけのひとつでした。
このとき、「このままではまずい」と思い、30歳までに達成する目標を1年ごとに設定しました。その中の通過点のひとつとして、フリーランスを選びました。つまり、フリーランス自体が最終目標ではなく、「自分の力で稼げるエンジニアになる」ことが目的でした。
もしフリーランスとして生計を立てられれば、自分のスキルが市場で通用する証明になりますし、会社に依存しなくても生きていけることが分かる。そうすれば、選択肢も増えると考えていました。
とはいえ、フリーランス期間は半年程度しかなく、すぐに法人化しました。なので、そこまでこだわっていたわけではなく、「スキルの証明のための期間」という位置づけでしたね。
── 目標を設定し、それを確実に達成されている点がとても印象的です。1年ごとに目標を立てる理由について、もう少し詳しく聞かせていただけますか?
シンプルに、「1年というスパンが分かりやすいから」 ですね。
例えば、半年だと短すぎて達成が難しく、3年だと長すぎて途中でモチベーションが落ちる。1年単位にすると、「今年の目標が達成できたかどうか」 が明確に分かるので、自分にとって最適な区切りでした。
また、人間は目標を忘れがちなので、「コンフォートゾーンに留まりたくなる自分への戒め」 という意味もあります。長期目標を決めても、それを意識し続けるのは難しいので、私は目標をしっかり書き出して可視化することを習慣にしています。
── なるほど。幼少期の経験とも関係しているのでしょうか?
おそらく、父の死が一番の原体験 だと思います。
私の母は韓国人で、父が亡くなった後、シングルマザーとして娘2人を私立に通わせ、さらに留学まで行かせてくれました。
一般的には、「シングルマザーになると生活が一変する」というイメージがありますが、母は全く違いました。家も変わらず、奨学金も借りず、借金もなく、普通に生活を続けていたんです。
その姿を見て、「誰かに依存しない生き方」 を身近で学んだのかもしれません。私も、「人生は自分でコントロールするもの」 だと強く意識するようになりました。
── 創業までのキャリアの中で、最も印象に残った出会いについて教えていただけますか?
新卒時代の上司との出会いが、今でも大きな影響を与えています。
最初の会社で営業部長だった方なのですが、彼から教わったことは、今でも自分の中に根付いています。実際に、最近久しぶりにお会いしたとき、「当時教えてもらったことを、今の自分がチームメンバーに伝えているな」 と感じました。
── 創業のきっかけについて改めてお聞かせいただけますか?
もともと 「sister」 はポートフォリオとして作ったもので、最初から事業化しようとは考えていませんでした。ただ、せっかく作ったものを ちゃんと運用してみようと思い、実際にユーザーが増えていく中で、さまざまな意見をヒアリングするようになりました。
このとき、正直ジェンダー問題に強い関心があったわけではなかったんです。なぜ自分が女性のメンターを求めていたのかも、最初はよく分かっていませんでした。
しかし、ユーザーとの対話を重ねるうちに、「自分が解決したい課題はこれだ!」 という瞬間がありました。本当に鳥肌が立つほどの気づきで、そのときに「これを本気でやっていこう」と決意しました。
そこから「sister」を続けていったのですが、次第に 「単なる個人プロジェクトではインパクトが足りない」 と思うようになったんです。「これだけやっても意味がない」「趣味レベルで続けるものじゃない」と。
私は、マイノリティである女性だけが頑張るのではなく、企業や働く環境そのものを変えなければ、本当の解決にはならないと考えました。
格差は資本主義の中で起こっており、経済の中で解決していかないといけない。そのため株式会社で事業として解決していく必要があると感じ、創業を決意しました。ただ、決断するまでには不安もあり、3ヶ月ほど悩みました。その間、女性エンジニアの仲間に相談し、背中を押してもらうことで、最終的に覚悟を決めました。
bgrass株式会社 創業後
── 創業後は、どのような取り組みをされましたか?
創業後、最初に取り組んだのは 「資金集め」と「チームの整理」 でした。
当時は資金もなく、売上もゼロの状態。それでも、「本気でやるなら、ちゃんと報酬を払える環境を作らないといけない」と考えました。最初は10人ほどのプロボノメンバー がいましたが、本気でコミットできる人だけに絞り、最終的には 3人のコアメンバー にしました。
私自身も資金がない状態でしたが、契約を結び、「この人たちと事業を成長させるために、まずは資金を調達しよう」と決意しました。
結果的に、最初は 400〜500万円 を調達し、その後半年ほどでVC(ベンチャーキャピタル)から資金調達を実施。そのタイミングで、事業の方向性も3回ほどピボットし、試行錯誤を繰り返しました。
── 当時、最も苦労したこと、あるいは良かったことは何ですか?
「チーム作り」 が一番大変であり、一番良かったことでもありますね。
私は「世界や日本をどう変えていくか」をベースに考えていましたが、チーム全員が同じ熱量で共感しているわけではないという現実がありました。
当時、私は「売上5億、10億、100億の会社を作る」と言っていましたが、周囲からは「いや、そこまでやらなくても…」という反応もありました。
このとき学んだのは、「創業者にしか見えない世界もある」 ということです。最終的には、当時のメンバーが一緒に動いてくれて、チームとして成長することができました。
── 結果的に、当時のメンバーはどうなりましたか?
最初に集まったメンバーは、本当に素晴らしい人たちばかりでした。ただ、エクイティのタイミングやキャリアの選択肢として、別の道を選んだ人も多かったですね。
例えば、あるメンバーはドイツに移住し、別のメンバーは大手企業の人事部長になりました。
ちょうどそのタイミングで、私も「本気でこの事業を成長させる」フェーズに入っていたので、それぞれの道を歩むという意味では、結果的には良いタイミングだったのかなと思っています。今でも彼女たちにはすごく感謝しています。
── 現在の業務内容についてお聞かせください。資金調達や開発、経営、採用など、幅広くご担当されていると思いますが、特にどのような業務を中心にされていますか?
現在、CTOとしての役割を持ちつつ、事業のスケールや戦略を考えながら、多方面で業務に関わっています。
最も重要なのは、事業の成長において何が一番のトリガーポイントになるかを見極めることです。今のフェーズではユーザー獲得数が最優先課題なので、事業全体を俯瞰しながらスケールのために必要な要素を見極め、チームと議論しながら方向性を決めています。いわゆる事業戦略の立案を担当しています。
加えて、中長期の開発計画の策定も手がけており、それをマーケット開発チームとつなぐ役割も担っています。事業の方向性を踏まえ、「開発ではこういう機能が必要」と判断し、プロジェクトマネジメントも行っています。
── 会社の魅力や事業の特長についてお聞かせください。
まず、チームの強さがbgrass株式会社の大きな魅力です。
先日、熱海で合宿を行ったのですが、業務委託や正社員といった雇用形態に関係なく、全員が「マイノリティのギャップを解消する」というビジョンに本気で向き合っていると改めて実感しました。
事業推進していると数字に目が向きがちですが、私たちは 「これは本当にソーシャルインパクトにつながるのか?」 と常に問い直しながら進めています。ただ利益を追求するのではなく、「私たちが本当にやりたいことは何か?」を振り返る文化があるのは、非常に大きな強みだと思います。
事業の魅力としては、単にマイノリティのエンパワーメントにとどまらず、企業や社会構造の変革までを視野に入れていることです。さらに、政府との連携やロビイング活動を含め、ソーシャル課題をビジネスで解決することを目指しています。
資本主義の中で、こうした社会課題を事業として成立させるのは簡単ではありませんが、私たちのサービスはそれを実現できるポテンシャルがあると思っています。
現在はジェンダー課題を中心に取り組んでいますが、これは 外国人、障がい者、LGBTQ+など、あらゆるマイノリティに共通する課題の解決につながると考えています。
そのため、私たちは ミッションやビジョンに「女性」というワードをあえて入れていません。まずジェンダーの問題を突破口にしつつ、その解決策を広げることで、より大きな社会課題の解決につなげていきたいと考えています。
現在の組織について
── 現在の組織体制についてお聞かせください。
現在の組織体制は、私の他に取締役COOが1名、ビジネスサイドの正社員が1名、開発チーム(デザイナー含む)が業務委託で5名という構成です。インターン生も含めると、合計10名ほどのチームで運営しています。
また、広告やWebマーケティングのチームは別にあり、それを含めるともう少し規模は大きくなります。
昨年のシード期までは、まずプロダクトがなければ事業が動かないというフェーズだったため、プロダクトチームを厚くすることを最優先していました。しかし、今年からはビジネスサイドも強化する必要があるという判断のもと、正社員を増やし、営業やエージェントの体制を整える準備を進めています。
今後はさらに事業拡大に向けて、人員の強化を図っていく予定です。
── 現在の組織の良い点と課題点についてお聞かせください。先ほどお話しいただいた会社の魅力とも重なる部分があるかもしれませんが、改めて伺いたいです。
組織の良い点は、会社のミッション・ビジョンが、チームメンバーの人生におけるミッション・ビジョンにもなっているという点ですね。
これは単なる「会社の理念」ではなく、チームメンバー一人ひとりが本気で共感し、自分ごととして捉えているからこそ実現できていると思います。また、私たちは 「ソーシャルグッドな事業をやっている」だけでは社会を変えることはできないということを理解しています。「良いことをしているだけでは持続可能なビジネスにはならない」んですよね。
私たちは、株式会社としてきちんと成果を出し、事業をスケールさせることが不可欠であると認識しています。そのため、「ソーシャル×事業成長」を両立できるよう、しっかりと数字に向き合い、結果を出すことを重視する文化が根付いているのは、組織の大きな強みだと感じています。
一方で課題点は、定性データと定量データの分析力を高め、具体的な施策につなげる力はまだ十分とは言えません。
現時点では、チーム全体として「数字をもとに分析し、最適なアクションを導き出すプロセス」が弱いと感じています。これが強化されれば、組織としてさらに盤石な体制になるはずです。この課題については、私自身の成長も必要ですが、組織全体として取り組むべき部分だと考えています。
また、エンジニアチームも含め、開発を担当するメンバーが「開発するだけ」ではなく、成果に直結する視点を持つことも重要だと思っています。
結局のところ、組織全体が同じ意識を持たないと、成果にはつながりません。だからこそ、全員がデータを意識し、行動できる組織づくりを進めていくことが大切だと思っています。
今後の目標
── 今後の目標を教えてください。
短期的な目標は、足元のユーザー数を増やしていき、より多くの女性エンジニアに届けることです。
中長期的な目標(3年後) は、社会全体において 「公平な職場環境の実現が当たり前になること」 を目指しています。
現在、一部の企業では ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)施策を見直す動きもあります。例えば、「DE&Iを掲げるのをやめる」といったニュースもありますが、これは 「ダイバーシティを諦める」という意味ではなく、公平な職場環境を作ること自体は引き続き重要であるという認識があるからだと思います。
つまり、ジェンダーやマイノリティの支援を特別な取り組みではなく、社会の当たり前の仕組みとして組み込むことが大事だと考えています。
3年後には、「WAKE Career」を導入していることが公平な採用プロセスのスタンダードになっている状態を目指したいですね。
── どのような人と一緒に働きたいですか?職種を問わず、どんな方が貴社にフィットするとお考えでしょうか?
ミッション・ビジョンに共感できる人ですね。
私たちは ソーシャルスタートアップなので、「社会課題を事業で解決する」ということに共感し、資本主義の中でどのようにインパクトを出していくかを考えられる人と一緒に働きたいです。
例えば、
「社会貢献をビジネスとして成り立たせることに面白みを感じる人」、「結果を出すことにこだわる人」、「仕事を単なる業務ではなく、やりがいとして捉えられる人」
こうした価値観を持っている方とは、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
よく 「女性が多い組織ですが、男性も採用していますか?」 と聞かれることがありますが、もちろん男性も採用しています。
また、「女性が多い=ゆるい会社」だと思われがちですが、実際には結果重視の文化で、しっかりと成果を評価する環境です。成果が見えることにモチベーションを感じられる人は、きっと楽しめる職場だと思います。
特に ビジネスサイドの強化を進めているので、Bizが得意な方は大歓迎です!具体的にユーザー獲得のマーケ戦略が得意な人を探しています。
私たちはイベントやカンファレンス、企業を巻き込んだアプローチなどたくさんの施策を実施しユーザー獲得につなげています。現在は私がメインで進めているので、ここをまるっとになってくれるような人を求めています。
そのため、「社会課題を解決しながらも、ビジネスとして成長させることに面白みを感じる人」 に、ぜひジョインしていただきたいです!