菊本 久寿氏|株式会社スタートアップテクノロジー  代表取締役社長 兼 エンジニア

SIerなどを経てngi group(現ユナイテッド) 技術部部長に就任し、アドテク関連サービスの立ち上げを行う。2012年よりフリーランスとして独立し、複数のスタートアップの開発支援を行う。その後ポケットコンシェルジュを運営する株式会社ポケットメニューの取締役CTOに就任。退任後2014年10月に新サービスの立ち上げに特化して開発を行う株式会社スタートアップテクノロジーを設立。

株式会社スタートアップテクノロジーについて

── 御社の事業内容を教えて下さい。

弊社は、スタートアップや新規事業の開発を支援する受託開発事業とプログラミングスクールであるRUNTEQ(ランテック)を運営しています。RUNTEQは、もともと受託開発から派生したものであり、受託開発を通じてエンジニアを育成し、エンジニアの不足を解消する必要性を感じ、約5年前にRUNTEQを立ち上げました。その結果、現在ではRUNTEQが主要な事業となっています。

菊本さんのキャリア

──  当時はどんな子供(小学校〜高校)でしたか。

子供の頃は、周りの同級生と同じように、ゲームなどが好きで、特にファミコンに熱中していました。その他にも、サッカーや受験勉強など、一般的な趣味や活動に興味を持っていました。プログラミングについては、学校の授業で触れる程度でしたが、周りの友達がMSXなどでプログラミングをしているのを横で見ていました。

── エンジニアのキャリアをスタートするまでの経緯を教えてください。

音響系の専門学校に通いながら、サウンドエンジニアを目指している中で、パソコンに触れるようになったことがきっかけでした。卒業後は音楽関係の仕事ではなく、独学でHTMLやCSS、Perl/CGIなどを学びながら、ホームページや掲示板を作成することに没頭しました。その過程はかなり楽しかったです。当時はフリーターでしたが、IT系の仕事に興味を持ち、派遣登録をして少しずつIT系の仕事を受けるようになりました。そして、ちょうどエンジニアを探していたゴルフ店に入社し、社内SEとして自社のPOSレジやECサイトの開発から運用まで、一通りの業務を5年間ほど一人で担当しました。

── その後、Sler、ngi group(現ユナイテッド) 、フリーランス、株式会社ポケットメニューへのキャリアを歩んでおりますが、それぞれの入社の経緯とどのような業務を行ったか教えてください。

ゴルフ店でSEとして5年間ほど一人で仕事をしていたので、外の世界も見たいと思い、スカウトメールをいただいたSESの会社に入社しました。不思議なことに、経験者であったにもかかわらず、未経験扱いされ、未経験社と同じ研修から始めることになりました。給料も他の未経験者と同じ給料でしたね。研修後は、SESとしての常駐ではなく、社内の受託プロジェクトに未経験のエンジニアと一緒に4人体制で参画しました。経験者であったため、1人で4人分のパフォーマンスを出す必要がありました。結果的に、1年ほど経ったタイミングでモバイルの開発に興味を持ち、モバイルの受託開発事業を展開している株式会社フラクタリストに転職しました。モバイルの受託開発を中心に活動していましたが、1年ほど経った後にngi group(現在のユナイテッド)の子会社と合併し、合併先のガラケーメディア事業の開発を担当しました。リーマンショックの時期には、メディアだけでなく、代理店が販売できる商品を開発しようという話が出て、アドネットワークを立ち上げたり、広告事業にも参入したりと、さまざまな経験を積みました。その後、親会社であるngi group(現在のユナイテッド)に吸収合併されるなど、さまざまな変化を経験しました。

── だいぶ変化が激しいですね。

そうですね。最終的には、技術部長としての立場に就き、アドネットワークやRTBの開発を行いました。私自身、新規サービスを立ち上げる強い意欲があり、そのための部署を立ち上げました。しかし、ユナイテッドとの合併のタイミングで、私が立ち上げた新規部署がなくなりました。その際に私はユナイテッドを退職し、フリーランスとしてスタートアップの勉強も兼ねて、レンタルCTOとして6社のスタートアップを支援しました。インフラ構築からプロダクト開発、組織構築まで幅広く対応していました。その中で、ちょうど0→1フェーズにあるポケットメニューも支援しました。他にも様々なお誘いを受けましたが、組織もサービスも0に近いフェーズから関わりたいという考えから、ポケットポケットメニューに取締役CTOとして参画することになりました。肩書きはCTOでしたが、開発組織は私一人でした。その後、0→1を作り上げ、最終的に開発組織も10名規模まで成長しました。

── スタートアップ業界は実際どうでしたか?

スタートアップ業界での経験は、日々が印象的で楽しいものでした。レンタルCTOとして、様々なスタートアップを支援する中で、特に資金調達のタイミングは非常に盛り上がりました。もちろん、成功しなかったり資金調達に失敗したりするケースもありましたが、その一方で急成長するスタートアップもありました。このような波がある中で働くことは、非常に刺激的で楽しいと感じました。

── その後、株式会社スタートアップテクノロジーを設立しておりますが、設立までの経緯を教えて下さい。

グルメ領域が自分の事業領域ではないと感じ、ポケットメニューのCTOを退任することを決めました。フリーランスに戻る選択肢はなかったので、一旦レンタルCTOを事業として創業しました。当時は会社を大きくすることや具体的な目標を持っていませんでしたね。

株式会社スタートアップテクノロジー 入社後

── 設立後、どのようなことに取り組みましたか。

最初は、レンタルCTOとして3社ほどのCTOや顧問業に従事していました。元ペライチの橋田さんが主催していたアクセラレーターで審査する側として関わりを持っていましたが、途中から私自身も参加したいと思い、参加者側に回りました。サービスを立ち上げる機会に恵まれた際、以前から利用していたクラウドソーシングの仕組みをサービス化するアイデアが浮かび、自分でクラウドソーシングプラットフォームを立ち上げました。企業側の案件を請け負い、それをタスクに分割して時給で発注するサービスをリリースしたところ、問い合わせが殺到し、手が回らなくなりました。その時にイベントで知り合った方が私の下で働きたいと申し出たので、業務委託でジョインしてもらいました。案件が増えてきたため、他のメンバーも業務委託で雇い入れ、ある時点でメンバーに社員か業務委託か尋ねたところ、社員を希望したので、一気に社員化し、10名ほどの組織となりました。その後、案件不足や人手不足を繰り返していくうちに、気づいたら30名ほどの組織にまで成長しました。

── RUNTEQはどのように生まれましたか?

RUNTEQは、もともと受託開発から派生したものであり、エンジニアの不足を解消する必要性を感じ、約5年前に立ち上げました。最初は未経験や経験が浅くてもできるレベルまで細かくタスクを分解し、それを少しずつ大きくしていく方法を採用しました。これを教育の仕組みに活かせるのではないかと思い始めたのが、RUNTEQの始まりですね。その後、検証を繰り返し、最終的に今の形に近いものができました。

── 現在の菊本さんの業務内容を教えて下さい。

プロダクトの設計やカリキュラムや準備が1-2割。残りが経営面の仕事で、ファイナンス周りや数字計算、人と会ったりなどしています。

現在のエンジニア組織について

── 現時点のエンジニアの組織体制や人数を教えて下さい。

受託開発チームは約10名程度で、RUNTEQのエンジニアチームは講師として兼務しているメンバーが約8名程度です。さらに、副業として講師を務めるスタッフも複数います。以前は横串の組織体制でしたが、業務内容の違いから、各メンバーが事業にコミットしやすいように、縦型の組織構造に移行しました。

── 現在のエンジニア組織の良い点(特徴や魅力的なところ)と課題点(ここを改善すればもっと良くなるなど)がありますか。

受託事業に関して、弊社は営業担当を配置しておらず、また、明確なプロジェクトマネージャーに専従している人物もいません。そのため、エンジニアが直接クライアントとのやり取りを行い、開発プロジェクトを進行しています。1人1人がお客様と密接にコミュニケーションを取りながら開発を進めるという点は、非常にポジティブな要素だと考えています。

RUNTEQ事業では、講師陣がランテックのシステム運営チームと協力しながら、プログラムの運営に取り組んでいます。この過程で、ランテックの受講生のスキル向上に注力していることから、事業へのコミットメントが高い人材が多いと感じます。

ただし、現在の課題点として、開発のスピードをさらに向上させたいと考えています。講師を兼務しながらの開発はスピードに影響を与えるものの、より効率的な生産性を実現する取り組みを進めています。

今後の目標

RUNTEQをプログラミング教育の分野でトップに押し上げることが私たちの目標です。RUNTEQが規模や評判といった点で、他を圧倒する存在として認知されるよう努めています。

── グロースウェル社のEQ診断でいうとどのコンピテンシーに当てはまる方と一緒に働きたいですか?もしくは今の開発組織に必要なタイプはどれにあたりますでしょうか?(図の中からお選びください)

『3:インベンター』の層が最もマッチすると思います。一方で、『4:ガーディアン』や『8:セージ』は保守的な傾向が強く、弊社のイメージにはあまりマッチしない可能性があります。

── 最後にどのような人と一緒に働きたいか教えてください。

成長を目指し、視野を広く持ち、新しいチャレンジに取り組むことを大切にしています。私のチームメンバーとしては、同様の目標を持ち、一緒に高い視点から課題に取り組むことができる人を歓迎します。