小倉 琳 氏|株式会社カエカ 人事責任者 兼 PdM 兼 スピーチトレーナー
2020年、株式会社カエカにジョイン。人事責任者 兼 スピーチトレーナーを勤め、経営者・政治家・社会人・学生の話し方トレーニングサービスを提供している。kaekaではこれまで、個人と企業・学校含めて5,000人以上に話し方トレーニングを提供。スティーブ・ジョブズに魅せられたことをきっかけとして、人を熱狂させるプレゼンテーションのメカニズムに関心を持つ。これまでにTED Talksを含むプレゼンテーション動画を延べ1000件以上視聴・分析し、聴衆を巻き込む言葉を日々模索。プレゼンテーション・スピーチに対する豊富な知見を活かして、元・現衆議院議員・経営者・中高生など幅広い年代に向けてトレーニングを実施する他、トレーナー育成にも関わっている。
株式会社カエカ について
── 御社の事業内容を教えて下さい。
我々は、話し方トレーニングサービスを提供しています。基本的には、全社総会やイベントから日常の仕事の中で使われるコミュニケーションを含めて、幅広く皆様の話し方を向上させるためのトレーニングを行っています。
これまでに約5000人以上の方々のトレーニングを実施してきました。大切にしているのは、話し方を数値化し、それに基づいて体系的に整理されたカリキュラムを提供することです。現在会社は、5年目に入っています。
小倉さんのキャリア
── 当時はどんな子供(小学校〜高校)でしたか。
基本的には、前に出るのが好きな子供だったと思います。例えば、生徒会活動に積極的に参加し、委員長のようなリーダーシップを取りたがるタイプでした。実際、小中高と生徒会活動を行っていました。また、学校の生活を大切にしながら、他のことにも興味を示していました。学校以外のコミュニティも大切にしていて、小学校では水泳に力を入れ、全国大会に出場するまで頑張りました。
中高、特に高校からは学校外の複数の生徒会が集まって行う討論会の運営や団体の代表を務めることが多かったです。いろんなことに興味を持ち、早くキャッチアップして、前向きに生きる子供でした。
── 株式会社カエカにジョインするまでの経緯を教えて下さい。
コロナ禍のときに、時間ができて、たまたまカエカ代表の千葉が行っているスピーチを見つけました。その時に「スピーチで人生を変える」という内容に非常に感銘を受けました。もともとスピーチを見るのが好きだったこともあり、「こんなに日本人で話すのがうまい人がいるのか」と驚きました。
そこで、SNSを見てみると、ちょうど求人が出ていたのですぐにエントリーしました。そして、今に至ります。私もスピーチで人生を変えられた一人だと感じています。
株式会社カエカ ジョイン
── ジョイン後、どのようなことに取り組みましたか。
最初に取り組んだのは、スクール事業の基盤を作ることでした。運営体制を整えることが一番最初にやらなければならないことだったため、自分自身もトレーナーとなり、レッスン設計に関わりました。次に抱えたミッションは採用に関わる部分で、人材が必要だったため、メンバーの採用を始めました。その時入っていただいた方々には今もお力添えいただいています。その後、ちょうど1年半ほど前からプロジェクトに関わるようになり、kaeka scoreの開発に取り組みはじめました。エンジニアとの会話やシステムに関連する話が比較的得意だったため、話し方トレーニングとシステムの架け橋となり、どう連携していくかということを進めていました。
様々な業務に取り組んできましたが、なかでも苦労した点としては、トレーナーを育成して採用するのが非常に難しいということでした。最初は千葉が一人で仕事を始めたこともあり、他の人が学習可能かつ指導可能な状態にスキルを落とし込むことが大きな課題でした。お客様と向き合いながら会社として大きくなるためにスピーチトレーナーの育成に関する仕組み作りを両立させるのは非常に大変でした。
── 現在の小倉さんの業務内容を教えてください。
私は4つの職種を担当しています。まず1つ目は人事や採用の部分で、これが全体の約3割を占めています。2つ目はPdMの仕事で、これも同様に全体の約3割を占めています。3つ目として、私自身もトレーナーをしているため、トレーニングが大体2割を占めています。
最後に、カスタマーサクセスの部分です。お客様のご支援やトレーナーの育成・支援などを含め、より良いシステムを作るための業務が全体の約2割を占めています。
── 株式会社カエカの事業の魅力をお聞かせください。
私たちの事業には大きく二つの面白さがあると思っています。まず一つ目は、新しい教育を作っていこうという挑戦そのものです。日本人は平均すると1日に約6.1時間話しているという統計があります。話すという営みは人間の根本にある動作です。カエカの事業では、話す時間が皆さんにとって快適な時間で、かつ武器となるためのトレーニングを提供しています。人が何かをしたいと思ったとき、その挑戦が話すことが苦手だというせいで妨げられることがないように、また話すことで仲間や資金が集まり、サポートを得られるようにできるように、事業を展開しています。話し方教育は一つの教育の形として非常に価値があると思います。他の方にはできないことをやれていると感じています。
二つ目は、私が関わっているkaeka scoreの面白さです。kaeka scoreの開発は、大きく音声分析と話の内容分析に分かれます。音声の分析については、比較的技術が整ってきました。また合わせて実施している話した内容をいかに分析するかという内容分析の部分も非常に面白いです。最近では生成AIの技術が向上してきていることもあり、内容分析の分野において可能性が広がっています。話し方トレーニングにおいてトレーニングを行う事業側とプロダクトを開発する技術側が連携することで、もっと多くの可能性が広がると思います。最終的には、全ての人が意見を前向きに言えるようになり、「すべての人生にスポットライトを」が実現する社会を作りたいです。
現在のエンジニア組織について
── 現時点の組織体制や人数を教えて下さい。
現在、2名の業務委託エンジニアがいらっしゃいます。会社としてはまだ組織という段階ではなく、これから組織らしくしていくことになる段階です。
今は、2人のエンジニアと私、そして私のPdMの師匠のような方をあわせて4名体制で開発を行っています。
── 現在エンジニア組織は、どのようなことに取り組んでおりますか。
弊社の開発の方向性は大きく二つあります。1つ目は、話し方の数値化を行うkaeka scoreの開発です。現在取り組んでいるのは、特に内容のAI分析です。現状ではトレーナーとAIが共同採点を行っており、ここに人の手が介入している部分があります。このため、既存の技術を使ってAIの採点をトレーナーの採点に近づけ、あるいはそれ以上の納得感を持つ自動採点システムを作ることが開発の第一次戦略です。
2つ目は、受講生の学習支援です。トレーニングのなかでは、受講生一人ひとりが前向きに学習に取り組む必要があります。そのために、システムを整えて、受講生に前向きに学習に取り組んでもらえるようにしたいと思っています。例えば、提出課題として宿題を出すことが多いですが、これに前向きに取り組んでもらう仕掛けを作ることも重要です。また、受講生の学習記録をどのように蓄積し、その成長を可視化するかも一つの論点です。
── 現在の開発組織の良い点(特徴や魅力的なところ)と課題点(ここを改善すればもっと良くなるなど)があれば、お聞かせください。
一つ一つのコミュニケーションが非常に大切にしています。お互いに柔らかいコミュニケーションを取ることを意識しているメンバーが多いですね。これは他社と比べても、弊社の特徴だと思います。
カエカでは、今まさに1人目のリードエンジニアの方の募集を始めた段階です。もし興味を持っていただける方がいれば、事業の面白さを感じていただき、1人目のリードエンジニアとして加わっていただけると非常に嬉しいです。
今後の目標
短期的な目標としては、学びたいと思った方がすぐに学び始められるような状態を準備していきたいと思っています。それによって、もっと多くの方に話す力を学んでいただけることを期待しています。
中長期的な目標としては、話す力の教育を義務教育に取り入れることを掲げています。話し方教育が義務教育に採用されることで、全ての人が話し方教育を受ける世界を実現することができると考えています。話し方教育を学ぶことが当たり前になり、全ての人がいきいきと話をできるようになるのが会社としての目標です。
── グロースウェル社のEQ診断でいうとどのコンピテンシーに当てはまる方と一緒に働きたいですか?もしくは今の開発組織に必要なタイプはどれにあたりますでしょうか?(図の中からお選びください)もちろん、全てのタイプが必要だとは思いますが、お答えください。
現在のフェーズで特に素敵だなと感じるのは、『6:スーパーヒーロー』のようにチームの状態を良好に保ち、進めていただける方です。また、会社としても新しいことに挑戦しているので『3:インベンター』をぜひお迎えしたいと考えています。
一方で、現在のタイミングでは、『4:ガーディアン』タイプの方や『8:セージ』タイプの方は難しいかもしれないと感じています。私たちは明確な指示や答えを持っているわけではなく、会社としての理想に従っていただきたい場面も多いです。そのため、ご自身の理想を全て優先することが難しいかもしれません。
── 最後にどのような人と一緒に働きたいか教えてください。
これは組織的な目線で、私たちが大切にしていることは大きく二つあります。
まず一つ目は、話す力の教育の価値や必要性に深く共感いただける方を大切にしたいということです。私たちはミッションドリブンな会社であるため、このミッションに共感いただけることが、お互いに幸せに働くために必要だと考えています。
二つ目は、チームで仕事を進めることを大切にする方を求めています。チームプレーを重視し、自分の貢献よりも先にチームメンバーの貢献を考えられる方が理想です。