園田 稚彩氏|株式会社おてつたび 広報

昭和女子大学デザイン学科卒。新卒で番組制作会社に入社し、約5年間、バラエティー番組の制作などに携わる。その後、株式会社おてつたびに入社。現在は一人広報として活躍中。

好きな食べ物・飲み物

好きな飲み物は日本酒や焼酎で、特に日本各地の地酒を探して楽しんでいます。地域を知るきっかけとして日本酒を巡る旅も増えてきていて、日本酒をきっかけにその土地に訪れることが増えています。食べ物では、最近ハマったのは鳴門のらっきょうです。出張で訪れた鳴門で食べた鳴門らっきょうが本当に美味しくて、今では会社の冷蔵庫にストックしています(笑)。これも旅の楽しみの一つですね。

株式会社おてつたびについて

── 御社の事業内容を教えて下さい。

私たちは、「お手伝い」と「旅」を掛け合わせた人材プラットフォーム「おてつたび」を運営しています。このサービスは、日本各地の素晴らしい地域や人々をより多くの方に知ってもらいたいという思いからスタートしました。

具体的には、人手不足で困っている農家さんや旅館の事業者と、地域を訪れたい、旅を楽しみたいと考えている旅人をマッチングさせる仕組みです。「おてつたび」を利用することで、旅をしながら地域の方々をお手伝いし、報酬を得ることができる上、寝床も提供されるため、リーズナブルに旅を楽しむことができます。また、地域の方々との交流を通じて、その土地の魅力をより深く知ることができるのも特徴です。

事業者側にとっては、地域内での人材確保が難しい中、全国から「旅の力」を借りることで、繁忙期や人手不足の問題を解消できます。さらに、旅人が数日間地域に滞在することで、その地域に関わり続ける「関係人口」を増やし、地域のファンを作り出す効果も期待できます。

私たちが目指しているのは、「おてつたび」を通じて、日本各地に人、想い、そしてお金が循環する世界を作ることです。

園田さんのキャリア

──  当時どのようなお子さんだったか教えていただけますか。

幼少期は、通知表によく「好奇心旺盛」と書かれていましたね。外で泥団子を作ったり、木登りをしたり、とにかくアクティブな子供でした。両親や祖父母が旅行好きで、キャンプや旅行に頻繁に連れて行ってもらったことが大きかったですね。特にキャンプは家族みんなで楽しむことが多く、自然に触れる機会がたくさんありました。

──  そういった経験が今の「おてつたび」ともリンクしている部分があるかもしれませんね。

そうですね。自然や旅行が今でも好きで、子供時代の経験が現在の仕事に繋がっている部分は確かにあるかもしれません。

── その後、柏南高校に進学されたと伺いましたが、その選択の理由を教えてください。

柏南高校を選んだ理由は、夏休みのオープンキャンパスに行ったときに「ここで青春を送りたい」と直感的に感じたからです。それに加えて、かわいい制服にも憧れたんですよ(笑)。少し自分にとっては背伸びした選択でしたが、なんとか合格できました。文化祭やイベントに積極的に参加し、友達とも楽しい時間を過ごせたので、本当に充実した高校生活でしたね。

── 昭和女子大学に進学された経緯も教えてください。

昭和女子大学への進学は、実は受験シーズンにインフルエンザA型とB型にかかってしまって、限られた入試機会の中で受験できる学校を探していたんです。母に勧められた昭和女子大学は、2科目だけで受験できる試験があったので、結果的に受かって進学しました。

── 昭和女子大学ではデザインを専攻されたとのことですが、その選択についてお聞かせください。

そうですね。生活科学部の環境デザイン学科でプロダクトデザインを専攻しました。デザインを学ぶことになったのは偶然でしたが、結果的には良い選択だったと思います。大学ではillustrator やphotoshopを使って、本格的なデザイン教育を受け、卒業制作も手がけました。様々な分野でのデザインを学べたので、とても充実していました。

── 就職活動では、デザインを活かそうとは考えなかったのですか?

少しは考えましたが、最終的には「何か別の形でデザインを活かせたらいいな」と思うくらいでした。大学の先生方が自分の個性を尊重してくれたことが、自分にとって大きな影響を与えてくれました。

── 昭和女子大学を卒業後、番組制作会社に入社された経緯を教えてください。

もともとテレビが大好きで、テレビ業界に憧れていました。就職活動では、番組制作が「企画の仕事」だと思っていましたし、テレビのセットデザインにも興味がありました。最終的には番組制作の方に引かれ、制作会社の採用試験を受けて、「やってみよう」と決意しました。

── 4年間の番組制作での経験について教えてください。

4年間、特にバラエティ番組での仕事が多かったです。リサーチやタレントのルーツを調べるなど、裏方の仕事を通じて、自分のアイデアが形になる瞬間はやりがいがありましたね。また、大学で学んだデザイン知識が少し活かせたこともありました。

── 番組制作で良かったこと、大変だったことは何ですか?

良かったことは、たくさんの人と出会えたこと、そして自分の体力の限界を知れたことです。反対に、大変だったことは体力的な負担が大きかったことですね。長期的にテレビの仕事を続けることに不安を感じ、辞めることを決断しましたが、学んだことは多かったです。

── 実際に「おてつたび」に入社する経緯や、なぜ「おてつたび」だったのか、そしてなぜ広報という職種を選んだのかについてお話を伺いたいと思います。

「おてつたび」に入社したきっかけは、テレビ業界を辞めて少し時間ができたときに、「旅に出たい」という思いが強くなったことです。ただ、東京での一人暮らしの中で家賃も払わなければいけないし、でも旅もしたいという気持ちがあり、どうにか両立できる方法を探していました。そのときにYouTubeやWebで色々と調べている中で「おてつたび」というサービスに出会いました。

永岡がピッチで登壇している動画を偶然見つけて、「お手伝いしながら旅ができるサービスがあるんだ!」と衝撃を受けました。私にとって、「お手伝いもできて旅もできる、さらに人との交流があり、収入も得られる」というのは理想的なサービスでした。そこから「おてつたび」についてさらに詳しく調べ始め、そのときにちょうど未経験でも広報職を募集していることを知りました。「私でも力になれるかもしれない」と感じたのは、SNSの更新があまり活発でなかったり、インスタグラムやYouTubeも動いていなかったりしたからです。「こんなに素晴らしいサービスなのに、もっと広めたい!」と強く思いました。

これまで大学でデザインを学んだ経験や、テレビ業界で培ったリサーチや動画編集のスキルが役立つかもしれないと思い、広報という職種に挑戦することを決めました。テレビ業界でも広報の方と接点があったので、広報の仕事には親しみを感じていましたし、「未経験でもいいなら挑戦してみよう!」という気持ちで応募しました。

── 実際に「おてつたび」に応募した際、どういったことを意識していましたか?

永岡に直接応募してお会いした際は、「自分ならこのサービスをもっと広められる!」という強い思いを伝えることを意識しました。未経験でしたが、「SNSをもっと活発にできる自信があります」と話した覚えがあります。

おてつたびのサービスには、社会的な意義があると感じていました。私自身、前職を辞めたことで一つの居場所を失ったような感覚があり、旅を通じて新しい居場所を作ることができるおてつたびには、特に共感していました。そのため、他の会社には応募せず、おてつたび一本に絞って挑戦しました。

──  実際に採用されたときの永岡さんの反応はいかがでしたか?

永岡からは、「ここまで共感してくれる人はいなかった」と言われました。メディア経験や、私が感じていたサービスに対する熱意を理解していただいたことが、採用につながったのだと思います。私自身もこのサービスの可能性を信じて、それをどう広めていくかを考えることが非常に楽しみでした。

株式会社おてつたび 入社後

── 広報として入社した後、どのようなことに取り組まれましたか?

広報という仕事に関しては、入社当時は全く知識がありませんでした。まずは、広報に関する本を読み漁り、採用してくれた方にお勧めしてもらった本も読みながら、基礎を学びました。また、以前業務委託で広報を担当していた女性からメディアリストの引き継ぎを受け、そのリストを元にどのようなアプローチをすべきか考えました。

過去に取材が実現しなかったメディアにも一つ一つ「園田と申します」と自己紹介しながら、協力できることがあればという形でメールを送りました。これは業務委託の方からのアドバイスを受けて行ったもので、その結果少しずつメディアに取り上げてもらえる機会が増えたと思います。

── それは自主的な行動だったのですか?

はい、もちろん自分で考えて行動した部分もありますが、業務委託の方からのアドバイスが非常に大きかったです。広報に関して全く知識がなかったので、素直にアドバイスを実行しました。その結果、丁寧にメディアにアプローチすることで、徐々に取材や露出の機会が増えていったのだと思います。

── 現在の業務内容を教えていただけますか?

現在は広報としてプレスリリースの作成や取材対応がメイン業務です。ただ、プレスリリースを書く際は、ただニュースを報告するのではなく、自分たちでニュースを作り出す意識で取り組んでいます。例えば、夏休みや大学生向けの企画など、季節やターゲット層に合った打ち出し方を考えています。

また、SNS運用も担当しており、インターン生の協力を得ながら進めています。さらに、4月に立ち上げたオウンドメディア「おてつなぎ」にも注力しています。これは、おてつたびに参加した方々のエピソードや、地域の事業者さんとのインタビューを通して、人との繋がりにスポットライトを当てたコンテンツです。オンラインでのインタビューが多いですが、テレビ取材の際には現場にも同行しています。

── 特に印象深い取り組みはありましたか?

一番反響が大きかったのは、「65歳夢をおてつたびで全国制覇」というインタビュー記事ですね。このインタビューは私が手掛けたもので、今までで最も読まれた記事になりました。この方の記事をきっかけに、50代・60代の参加者が増えたんです。現場に同行したテレビ取材の際も、「この記事を見て自分も参加したいと思った」と言われたことがあり、とても嬉しかったです。

それまでは「若者向けのサービス」というイメージが強かったおてつたびですが、この60代の方の記事がきっかけで年齢層が広がり、60代の方でも参加できるという後押しになったと思います。狙い通りというよりは、結果的にそうなったという感じですが、嬉しい展開でしたね。

── 未経験で広報を担当され、現在は1人で動かれている中で、苦労した点や良かった点は何ですか?

良かった点は、自分が関わった企画やメディア対応が結果として反響を生んだ瞬間です。たとえば、「ガイアの夜明け」など大きな番組で取り上げられた際、その放送をきっかけに多くの方が「おてつたび」に興味を持ち、実際に参加者が増える瞬間はとても嬉しいです。「行動変容」という言葉がありますが、PRの仕事で人の行動を促せたと実感できたときは、やりがいを感じます。

一方で、苦労した点も多くあります。未経験だったため、まずはプレスリリースの書き方から学ぶ必要がありました。また、広報は広告とは違い、こちらの思い通りに結果が出るとは限らず、その点で思い通りに進まない難しさがありました。参加者や事業者の方々への配慮も重要です。メディアに出たいと思う人ばかりではないため、彼らに無理のない形で協力してもらうための調整が難しいこともあります。忙しい中で協力していただける方々への感謝を忘れず、慎重に進めることが大切だと感じています。最初の頃は何度も失敗しましたが、今でも配慮を欠かさないよう心がけています。

── 取材を調整する際の流れはどのようなものですか?

例えば、報道番組で「おてつたび」が紹介された際の流れをお話しします。まず取材希望の問い合わせをいただいたら、最初に受け入れ先の事業者さんに連絡して取材の承認を得ます。その次に、実際に「おてつたび」を利用している参加者に取材協力をお願いし、顔出しや名前の使用が可能かどうか確認します。その後、番組側とのオンライン打ち合わせやスケジュール調整も行います。

テレビの放送は数分ほどでも、実際の取材は1日かけて行われることが多いです。お手伝いの場面や旅の様子、宿泊場所も撮影したいといった要望があり、参加者にはその長時間の撮影についても了承を得る必要があります。また、撮影した映像が使われない場合もあるため、あらかじめその点も説明します。さらに、受け入れ側の事業者、例えば旅館にも取材の許可を取らなければなりません。これらすべてをこちらで調整するので、関わる人数が多く、手間がかかる作業です。

以前は現場に同行しないこともありましたが、その結果、参加者が予想以上に取材されたり、発言内容に不安を感じることがありました。それ以来、私はできるだけ現場に同行して、参加者や事業者が安心して取材を受けられるようフォローするようにしています。気持ちよく取材ができる環境が、結果として良い露出につながると考えています。

 株式会社おてつたび サービス・組織の魅力

── 株式会社おてつたびの事業・サービスの魅力をお聞かせください。

また、通常の旅行だと行きたい場所を選びますが、私たちのサービスは「おてつたび」という体験を通して地域を訪れることが多いです。その結果、特別な興味がなくても、旅先で地域の魅力を発見してもらえるというのも大きな魅力だと考えています。

──  旅人にとっての魅力は何ですか?

旅人にとっての大きな魅力は、リーズナブルに旅ができることです。それに加えて、人と出会い、交流できる点も非常に価値があります。特に私たちのサービスでは90%以上の方が一人旅です。ほとんどが一人で参加し、お手伝いを通じて自然に他の旅人と繋がることができます。

例えば、広島でお手伝いした大学生が、就職活動を終えてから友達を連れて再訪するケースもあります。こうして、地域にファンが増え、地域経済にも良い影響が生まれるのです。

── 何かエピソードなどはありますか?

印象深いエピソードとしては、おてつたびで知り合った参加者同士が結婚したケースがあります。沖縄で出会った男女が結婚し、子どもも生まれたという話が特に印象的です。何度もおてつたびに参加する中で、友達だけでなく人生のパートナーと出会うこともあります。

おてつたびは、地域の事業者にとっては人手不足の解消だけでなく、旅人が地域に滞在し地域経済を活性化させるきっかけになります。旅人にとっても、新しいコミュニティとの出会いを通じて人生に変化をもたらす機会がある。そんな誰かの人生に少しでも影響を与えるサービスとして、大きな価値を感じています。

──  株式会社おてつたびの組織の魅力をお聞かせください。

組織の魅力は、やはり創業者であり社長の永岡里菜が掲げる一貫したビジョンにあると思います。彼女は「日本各地の人やもの、そして地域が正当に評価される世界を作る」という強いビジョンを持っていて、その思いが全くぶれないんです。このビジョンに共感して、多くの人が引き寄せられていると感じます。

私を含め、スタッフ全員がそのビジョンに強く共感していて、単に仕事をこなすだけではなく、おてつたびというサービスをどうやって多くの人に知ってもらい、活用してもらえるかを常に考えています。この「おてつたびの可能性を信じている人しかいない」という共通認識が、組織全体の一体感を生んでいるのだと思います。

──   改めて、全体で何名くらいの組織なんですか?

現在は全体で13名の組織です。その全員が、永岡を中心に同じ方向を向いて走っている感覚があります。まさに、永岡のビジョンに共感して集まった仲間たちが一緒に目標に向かって進んでいる、という組織の強さを感じています。

今後の目標

一つ大きな目標として、「カンブリア宮殿」に出演するまでやり遂げたいという思いがあります。これは個人的な目標でもあり、会社全体としても成し遂げたい部分です。「カンブリア宮殿」は、成長を遂げた企業や経営者が取り上げられる番組で、おてつたびがそのレベルに達して紹介される段階まで成長させたいと考えています。それだけの企業成長を実現するのが大きなゴールです。

その道のりにはさまざまな課題がありますが、露出を増やし、より多くの人に知ってもらうことが、この目標に繋がると考えています。数年以内には達成したいと考えており、今はその方向に向かって取り組んでいるところです。

──  他に何か目標はありますか?

より多くの人におてつたびの存在を知ってもらい、実際に利用してもらうことです。特に、日本全国にある約1800の市町村のどこか1カ所でもおてつたびの受け入れ先があるという状況を目指しています。これが実現すれば、地域社会におてつたびが根付き、事業の規模もさらに大きくなると確信しています。

──  PRしたい内容を教えてください。

支えるシステムは非常に重要です。開発チームがしっかりとしたシステム基盤を作ることで、地域と人をつなぐマッチングプラットフォームとして新しい出会いを創出しています。

おてつたびは、単なるウェブプラットフォームではなく、地域活性化やDXといったデジタル領域にも強みがあります。地域への思いを持ったエンジニアや、自治体との連携に興味のある方にぜひ参加していただきたいです。また、地方で働くことに興味がある方や、自治体と一緒に地域の未来を考える方も大歓迎です。

おてつたびの成長に共感してくださる方と一緒に、日本各地の魅力を広め、地域の課題解決に取り組んでいけることを願っています。