スマートスライドのCTOが語るスタートアップ組織とは?

辻 将幸氏|株式会社スマートスライド CTO

ゲームクリエイター専門学校卒業後、アプリコットに新卒入社し、開発エンジニアとして複数のプロジェクトに参加。その後フリーランスエンジニアとして活動し、FromToのCTOを経て、現在はスマートスライドのCTOとして組織構築とプロダクト開発に従事。

株式会社スマートスライドについて

弊社は、社内提案資料の再活用を促し、組織全体で効率化・提案レベルの底上げを実現できる「SmartSlide」の開発・運営を行っています。部署や個社クライアントごとの提案ボトルネックやポテンシャルを定量可視化し、案件規模拡大・成約率向上に貢献しています。

辻さんのキャリア

学生時代は、勉強とは無縁で、ひたすらゲームばかりしていましたね。小学校6年生の頃には、パソコン教室に通い、タイピングの練習をゲーム形式で楽しんでいました。中学時代には、軟式テニスに打ち込んでいましたが、高校進学のタイミングでテニスを辞め、代わりにゲームセンターによく通うようになりました。小学校の頃は友達と集まってゲームをしていましたが、高校時代には、ゲームセンターで初対面の人と交流し、趣味仲間のようなコミュニティでゲームを楽しんでいました。特に音楽ゲームが好きで、全国ランキングを争うほど熱中し、一時期は全国1位になったこともあります。

ゲームが好きという気持ちから、ゲームを作ってみたいという思いが芽生え、ゲームクリエイター専門の専門学校に通い始めました。そこで、ゲームを通じてプログラミングを学ぶ中で、ゲームがどのように動くのかを理解しました。しかし、その過程でゲームを作るというよりも、プログラミング自体に魅力を感じるようになりました。その後、様々な会社のプログラミングの仕組みに興味を持ちました。1社の企業で一つの開発をする選択肢ではなく、様々な会社に出向し、様々な案件に携わることができる株式会社アプリコットに就職しました。入社後は、開発エンジニアとして、準大手建設会社の資産管理システムや統合アプリの開発、さらには某メガバンクのシステムにも関わる機会を得ました。

フリーランスとしての活動を始めたのは、さまざまな現場で技術を学びたいという気持ちがきっかけでした。1社目のアプリコットでは、大手企業の案件を経験する中で、WebシステムやIoTなどの最新技術に興味を持ち始めました。これらの分野を学ぶためには、自ら積極的に動く必要があると感じ、会社を辞めてフリーランスの道に進むことを決意しました。また、以前からフリーランスのコミュニティに参加しており、そこで知り合ったエージェントさんから案件をいただいていました。

そうですね。エージェントさんから紹介いただいた案件を1つのベースとして、それに加えて平日や休日を問わず、並行して2、3件の案件をこなしていました。

株式会社FromToの代表とはフリーランスのコミュニティで出会い、前身の会社のタイミングから一緒に関わっていました。彼とは、地方と都会を繋ぐようなサービスを立ち上げたいという話をしていて、その実現方法について毎週日曜日に集まり、事業を構想していました。その後、私はエンジニアとして彼のチームにジョインし、最終的には取締役CTOにまで昇進しました。

当時は進捗管理の統制が取れてなくプロダクトがいつまでも完成しなくリリース時期が数ヶ月遅れるのが当たり前の状況でした。ビジネスサイドからの不信感を感じたことをきっかけに、開発体制の改善案を代表に提案したところ、マネージャーに抜擢されました。実際にマネージャーになってからは、プロジェクト管理ツールの選定や運用方法、スクラム開発導入など試せることはすべて試しました。その結果、リリース時期の安定化が達成できたことで自信がつき、自らCTOになりたいと表明しました。マネージャーとして開発に携わっていくうちに、楽しさや面白さを知ると同時に、エンジニアが適切に評価される組織を構築したいという思いが芽生え志願しましたね。

FromToと同様に、創業前から一緒に活動していました。元々、代表の白幡とは同じプログラミングスクールで出会いました。私は当時、週末限定でJavaの講師の仕事をしており、教え方を学ぶために個人的にプログラミングスクールに通っていました。そのスクールで白幡とも出会ったのです。カリキュラムを通してやり取りするようになりました。、彼から自身で作りたいサービスがあるという話を聞いて、彼の情熱に触れたことがきっかけで、一緒にサービスを立ち上げたいと思うようになりました。

月に1回、渋谷のレンタルオフィスを借りて、お客様の課題を抽出する作業から始めました。その後、SmartSlideの現在のサービスに至るまでに2、3回、プロダクトを作り直す過程がありました。この段階では私は副業として、週に2、3日のペースで関わっていました。そして、本格的に会社としてプロダクトを開発することを決めた際、白幡からCTOの打診を受け、2021年6月に正式にジョインすることになりました。

株式会社スマートスライド 入社後

最初は事業が固まっておらず、クライアントの課題やそれに対する解決策を白幡と共に考え、MVPのような開発に取り組んでいました。初期はGoogle Slideのようなブラウザベースでサービス提供してたため、普段PowerPointを利用する営業現場にとって手間が増加しただけとなってしまい、ユーザー体験設計の難易度の高さに苦戦しました。課題やソリューションは変えずプロダクトだけを再構築したことで、よりユーザー目線での開発を意識でき、適切な意思決定力が身についたと感じています。

開発が9割を占めていますね(笑)。実装に加えて、アーキテクチャ設計や要件整理やデザイナーとフロントエンドの方のレビューも行っています。残りの1割は、経営戦略を中長期的にどのように進めていくかを組み立てています。

現在のエンジニア組織について

リリース前後のタイミングでは、フロントエンドエンジニア1名、バックエンドエンジニア2名、デザイナー1名、そして私の計5名で活動していました。新規機能開発とリリース後のお客様からの細かい要望を改善するために、二つのラインを設ける必要があり、一時的に5名の体制を取っていました。しかし、現在はミニマムな体制でも対応できる難易度になったため、人数を縮小して3名体制で取り組んでいます。

弊社の文化の特徴として、『振り返り文化』、『価値にこだわる』、そして『Why now』を大切にしています。例えば、振り返り文化では、週に1度、ビジネス側と開発側の全員が集まり、振り返りを行っています。この取り組みは、会社の初期段階から行われており、社内外で起こっている課題や問題を改善する仕組みとして役立っています。

今後の目標

スマートスライドの事業拡大のために導入社数を増やすことを最重視しています。しかし、導入社数を単純に増やすのではなく再現性のある営業手法の確立、ユーザーに継続的に価値を届けるためのカスタマーサクセスの充実化や更なる提供価値の開発など組織構築や仕組み化が必要不可欠です。そのためCTOとして組織構築とプロダクト開発の両面においてスピード感を持って計画的に取り組んでいきます。

事業の成長を促進する必要があるため、「7:デリバラー」のタイプの人材が必要ですね。一方で、「4:ガーディアン」のタイプは組織としては適さないと考えています。弊社の文化では価値にこだわっており、言われたことや上司の指示通りに行動することは求められません。

会社の成長とともに、一緒に成長し続けることができる人、そして挑戦を続けられる人と働きたいと考えています。