電話やWeb会議、対面で交わされる会話。その多くは、これまで記録されることなく消えていった。株式会社RevCommが提供する音声解析AI「MiiTel」は、あらゆるビジネス会話を録音・文字起こし・解析する。会話を、企業が活用できるデータへと変えるサービスだ。
目指すのは、単なる議事録作成や業務効率化ではない。音声コミュニケーションを企業の資産に変え、事業の競争優位性につなげることだ。
同社で執行役員/CTOを務める平村健勝氏。学生時代からコンピューターサイエンスや統計を学び、卒業後はアクセンチュアへ入社した。ITコンサルタントとして企業の課題解決に携わった後、創業期のRevCommへ参画している。現在もCTO業務の約8割を研究開発に充てる。電話と音声AIを組み合わせた、新しい体験を自ら形にしている。
なぜ、技術だけでなくビジネスを理解する道を選んだのか。RevCommは、どのように開発組織を築いてきたのか。そして、AI時代に人間が担うべきコミュニケーションとは何か。平村氏に、その軌跡と今後の展望を聞いた。
株式会社RevComm 執行役員/CTO 平村 健勝氏
東京工業大学大学院修士課程を修了。アクセンチュア株式会社へ入社し、ITコンサルティングや通信業界向けのプロダクト開発、データサイエンス領域のプロジェクトなどに携わる。2018年、創業メンバーCTOとしてRevCommに参画。通信基盤、アプリケーション開発、機械学習など、幅広い技術領域を牽引している。
株式会社RevComm

音声コミュニケーションを「流れる情報」から「企業の資産」へ
── まずは、御社の事業内容について教えてください。
RevCommという社名は、「Revolution(革命)」と「Communication(コミュニケーション)」を組み合わせた造語です。「コミュニケーションを再発明し、人が人を想う社会を創る」というミッションを掲げています。
現在、音声解析AI「MiiTel」は、大きく3つの接点をカバーしています。電話を解析する「MiiTel Phone」、Web会議を解析する「MiiTel Meetings」、対面での会話を解析する「MiiTel RecPod」です。
さらに、コールセンター向けには「MiiTel Call Center」を提供しています。祖業であり、現在も主力となっているのが電話領域です。RevCommは通信事業者として電話サービスを提供しており、電話番号を発行することもできます。
ただ電話をかけたり受けたりするだけではありません。MiiTelを利用した通話は録音・文字起こしされ、クラウド上に蓄積されます。そのデータを分析したり、AIで解析したりできることが特徴です。
「MiiTel Call Center」には、コールセンター運営に必要なダッシュボードなどの機能も備わっています。
── 電話から始まり、Web会議や対面での会話にも領域を広げてきたのですね。
コロナ禍をきっかけにリモートワークやオンライン会議が増えた2020年頃から、「電話版のMiiTelと同じ仕組みを、Web会議でも使いたい」という声が多く寄せられるようになりました。
そこで生まれたのが「MiiTel Meetings」です。Google MeetやMicrosoft Teams、Zoomなどの会議データを取得し、解析や文字起こしを行って、お客様が活用できる形で提供しています。
その後、ハイブリッドワークが広がり、対面でのコミュニケーションも戻ってきました。そこで増えたのが、「対面での会話にも対応してほしい」というニーズです。その声から生まれたのが「MiiTel RecPod」です。モバイルアプリで会話を録音すると、その内容が文字起こし・解析され、組織内で共有・参照できます。
MiiTelは、「電話の製品」「議事録を作る製品」「会話を録音する製品」と捉えられることがあります。ただ、私たちは電話やWeb会議、対面での会話を、あくまでお客様とのタッチポイントだと考えています。
現在では、Web会議から議事録が自動で作られる体験も当たり前になりつつあります。しかし、それだけではデータが一時的に流れていく「フロー」にとどまり、企業の資産として蓄積される「ストック」にはなりません。
私たちは、「MiiTel」シリーズのアプリケーションを通して電話やWeb会議、対面での会話から得られる音声を、ビッグデータとして蓄積しています。そこに、文字起こしや感情認識をはじめとする、さまざまなアルゴリズムを掛け合わせます。そして、得られた示唆をお客様のビジネスに活用できる形で提供する。
音声コミュニケーションのデータを、企業の競争優位性につながる価値へ変えていく。それが、私たちの事業の本質です。
「技術だけでは勝てない」──ビジネスとシステムをつなぐ道へ

── ここからは、平村さんのキャリアについて伺います。コンピューターサイエンスや統計に関心を持ったきっかけを教えてください。
高校生の頃から、プログラムを書いたり、サーバーを構築したりしていました。ソフトウェアエンジニアリングは、自分に合っていると感じていたんです。
もともと興味もあったため、大学では工学部の情報工学科へ進みました。そこで、システムやソフトウェアエンジニアリングに関する知識を一通り身につけました。
ただ、ソフトウェアエンジニアリングやシステム開発の世界には、本当に優秀な人たちがいます。GoogleやMicrosoftで働く人、任天堂やソニーでプロダクトを開発する人など、さまざまな領域で活躍する人がいる。そうした世界の頂点に行くには、どうすればよいのだろうと考えるようになりました。Rubyを開発したまつもとゆきひろさんのように、プログラミング言語そのものを生み出す人もいます。一方で、私は「ソフトウェアを作る技術だけを磨けばよいのだろうか」とも感じていました。
もう一つのきっかけが、大学1年生の頃に触れたGmailです。それまでのメールサービスとは大きく異なり、特に迷惑メールフィルターの精度に驚きました。「これはどのような仕組みなのだろう」と調べるなかで、ベイズ統計学やベイジアンフィルターに関心を持ったんです。
これからは、統計やビッグデータの時代が来る。そうした技術を身につければ、ほかの人には作れないシステムやサービスを生み出せるのではないか。より高いユーザー体験を提供できるのではないかと考え、統計に関する研究へ進みました。
── 大学院では、技術に加えてビジネスにも関心を広げていったそうですね。
大学院へ進学してから、自分よりも圧倒的に優秀な人たちを間近で見るようになりました。同級生には、後にテレビで特集されるような人もいて、純粋な技術力や地頭の良さだけでは勝てないと感じたんです。
そこで、「自分には何ができるのか」「彼らが持っていないものは何だろう」と考えるようになりました。私が所属していたのは社会理工学研究科で、ビジネスに近い領域を学べる環境でした。
アイデアや企画を構想し、それをシステムとして形にする。リリースした後は、運用していく。その一連の流れを考えたとき、より上流から関わることに可能性を感じました。純粋な技術力だけでは生み出せない、大きなインパクトを社会に与えられるのではないかと考えたんです。
それからは、「なぜ、このビジネスは成り立っているのか」を意識するようになりました。エンジニアであっても、ビジネスを理解しておいて損はありません。
そう考えていた時期に、ヘルシンキ工科大学へ留学しました。学んだのは、コンピューターサイエンスそのものではなく、サービスサイエンスです。経営工学、MBAに近い内容で、講師にはIBM出身の方もいました。
そこで、ビジネスを理解したうえでエンジニアリングの知識を生かす考え方に触れ、「自分が目指したいのは、まさにこの方向だ」と感じました。ビジネスとシステムを一体で考えられる人になりたい。そう考えて、卒業後はアクセンチュアへ入社しました。
アクセンチュアには、エンジニアではなくITコンサルタントとして入社しました。コンサルタントは、企業にとっての医師のような存在だと考えています。企業が抱える課題を診断し、解決へ導いていく役割です。私は、企業におけるITの課題を知り、「なぜ、このような非効率な状態になっているのか」「どうすれば改善できるのか」を考える仕事に携わりました。
ITを活用して業務効率を高めることで、企業の収益性が向上したり、お客様に提供するサービスの満足度が高まったりする。そうした変化を生み出す仕事に、大きな面白さを感じていました。
面接ではなく、ビジネスプランの壁打ち。会田氏との出会い
── その後、創業期のRevCommへ参画されます。代表の会田さんとは、どのように出会ったのでしょうか。
当時、私は転職を考えていました。アクセンチュアで7年間働き、ある程度の経験を積めたと感じていたことに加え、30歳でマネージャーに昇進したことも一つのきっかけです。
周囲には40歳前後の経験豊富なマネージャーが多く、自分は比較的早い昇進だったため、仕事の進め方に難しさを感じる場面もありました。もともと、アクセンチュアではマネージャーになることを一つの目標にしていたので、そこに到達したことで次のキャリアを考えるようになったんです。
ほかのコンサルティング会社へ移ることも考えましたが、おそらく同じような状況になるだろうと思いました。大手クラウドベンダーや外資系IT企業なども検討し、実際に選考も受けました。メーカーや自動車会社のような歴史ある大企業も候補に入れていました。大企業に転職すれば、相応の給与やポジションを得られたと思います。ただ、「何かが違う」という感覚が拭えませんでした。
そうしてさらなる選択肢を考えていたとき、スタートアップからもスカウトが届くようになりました。その一つが、会田からのメッセージです。最初は「これは何だろう」と思いました。しかし事業内容を見てみると、音声に関する研究経験があり、通信業界での経験を持つ自分の経験にかなり近い領域の事業でした。そこで興味を持ち、カジュアル面談をすることにしました。
一般的な面接であれば、これまでの経験や志望動機について質問されると思います。しかし、会田との面談では、彼が実現したいことを聞きながら、ビジネスプランの壁打ちをするような会話が中心でした。
すると、「来週から会議に参加してください」と言われたんです。副業として半年ほど関わるなかで、正式に参画しようと考えるようになりました。前職との調整を経て、2018年に創業メンバーCTOとしてジョインしました。

── 初期のプロトタイプも平村さんが開発されていたそうですね。ユーザーが増えていく様子を見て、参画する決意が固まったのでしょうか。
そうですね。実際にユーザーが増えていたことは、大きな判断材料になりました。
アクセンチュアで働き、大手通信会社への出向も経験するなかで、大企業には多くの強みがある一方、スタートアップならではの魅力もあると感じていました。
特に、スタートアップは意思決定や開発のスピードが速い。大企業では、新しいビジネスのアイデアを思いついても、実際に形になるまで何年もかかることがあります。また、大きなリスクを取ることも簡単ではありません。
そうした経験から、次に挑戦するのであれば、スタートアップがよいのではないかと考えるようになりました。
── ご自身で起業することは考えなかったのでしょうか。
会田は、前に出て自分たちの考えを発信することが得意なタイプです。一方、私は人前で注目を集めることよりも、現場でプロダクトを作っている方が楽しいんです。
アクセンチュアではテクノロジー側に所属していたので、ビジネスのプロフェッショナルと一緒に仕事をする方が、自分の強みを発揮しやすいと感じていました。現在も、経営や資金調達などは、それぞれの領域に強いメンバーが担っています。その分、私はテクノロジーに集中できます。
より良いプロダクトを作り、お客様に質の高いユーザー体験を提供し、競争優位性につながる技術を生み出す。私は、技術を通じてビジネスに貢献する方が向いているんです。優秀なビジネス人材と力を掛け合わせることで、より大きな成果につなげられると考えています。
4人から始まった組織。事業と人に合わせて形を変える

── 創業初期と現在では、事業も組織も大きく変化してきたと思います。初期の状況について教えてください。
シード期まで遡ると、当初は4人ほどの組織でした。人も信用も、何もかも足りない状態です。
バックオフィスがいないので、広報部門もありません。取材依頼が来れば、自分で記者の方に対応しました。法務担当もいないため、契約などの対応も自分たちで行います。
デザイナーもいなかったので、PowerPointのテンプレートも自分で作りました。人事もいません。面接日程の調整から内定通知書の作成まで担当し、社会保険労務士の先生と相談しながら進めていました。
会社が急成長すると、業務の量が増えるだけでなく、求められる品質も上がっていきます。絶対にミスをしてはいけない業務と、事業を成長させるために取り組むべき業務のバランスを取り、優先順位をつけることには苦労しました。
採用では、初期から即戦力となる人材を優先していました。まずはミドル層やマネージャー候補を採用し、信頼できる仲間を増やしていく。現在、テックリードやエンジニアリングマネージャーを務めているメンバーには、創業初期から在籍している人もいます。
一方で、権限をどこまで委譲するかは非常に難しい問題です。任せた結果としてミスが起きれば、最終的には自分の責任になります。私自身、それまで大規模な組織を見た経験があったわけではないので、試行錯誤しながら進めてきました。
── 現在の開発組織は、どのような体制になっているのでしょうか。
開発組織の形は、1〜2年に一度ほどの頻度で見直しています。組織を見直す際の判断軸は、大きく3つあります。責任者がマネジメントしやすいか。メンバーがマンネリを感じずに働けるか。そして、その時々の事業状況に合っているかです。
メンバーの組み合わせが変われば、チームの雰囲気やコミュニケーションも変わります。
以前は、専門領域ごとにチームを分けていました。バックエンド、フロントエンド、モバイル、インフラ、電話システムを担当するPBX、機械学習などを扱うリサーチといったチームです。それぞれのメンバーが複数のプロダクトを横断して担当する、マトリクス型の体制でした。
その後、プロダクト単位の組織へ移行しました。「MiiTel Phone」「MiiTel Meetings」「MiiTel RecPod」「MiiTel Call Center」の各領域に加え、共通基盤を担うプラットフォームチームを置いています。デザイナーとリサーチチームは、複数のプロダクトを横断する独立組織です。
さらに、新しい製品や機能のプロトタイプを開発し、素早く製品化する「Strategic Development Unit(SDU)」を設けました。また、稼働中のサービスの信頼性や運用を改善するSREチームも立ち上げています。
組織設計に唯一の正解があるわけではありません。マネジメントのしやすさと、メンバーが新鮮な気持ちで働ける環境、その時々の事業状況を見ながら、適した形へ変えています。
CTO業務の8割は研究開発。顧客の要望に160点で応える
── 平村さんは現在、CTOとしてどのような業務に取り組んでいるのでしょうか。
業務の約8割は、新機能や、特に複雑性の高いサービスの研究開発です。
CTOには、難易度の高い開発を自ら担うタイプもいれば、採用や組織づくりなどの経営・マネジメントを担うタイプ、外部とのアライアンスを担うタイプもいます。
RevCommでは、組織マネジメントやアライアンス、資金調達などを、それぞれの領域に強いメンバーが担っています。そのため、私は技術や研究開発に集中できます。
特に、電話と音声技術を組み合わせた新機能の開発に力を入れています。私は通信と音声の両方に関するバックグラウンドがあるため、まずプロトタイプを作り、お客様と一緒に評価します。そこで需要が見込まれるものについては、正式に市場へ投入するためのロードマップを作成します。
最近では、会話をリアルタイムで処理し、その内容についてAIに質問できる機能も提供開始しています。対面商談、電話、オンライン会議など、さまざまな場面で利用できる機能です。
電話と音声AIを組み合わせたリアルタイム処理まで、社内で開発できる。それは、RevCommの強みだと考えています。
── RevCommの開発組織の良いところを教えてください。
まず、優秀なメンバーが揃っていることです。自分にはない強みを持つ人と切磋琢磨することで、その人の考え方や技術を吸収し、自分自身も成長できます。
もう一つは、お客様のことを本質的に考えられるメンバーが多いことです。お客様から「この機能を作ってほしい」と要望を受けても、そのまま開発するわけではありません。「こうした方が、もっと良くなるのではないか」「既存機能で解決できるのではないか」と考えます。そして、「そもそも、なぜこの機能が必要なのか」まで掘り下げます。
私たちは、それを「本質的な高価値の追求」と呼んでいます。
お客様から受けた要望に100点で応えるのではなく、160点の価値を返す。そのためには、お客様の業務や課題を深く理解しなければなりません。そうした姿勢を持つメンバーが多いことが、RevCommの開発組織の良さだと思います。
── 一方で、開発組織の課題をどのように捉えていますか。
私たちには実現したい世界観があり、そのために必要な開発テーマも数多くあります。最近はAIエージェントの活用によって、一人当たりの生産性も高まっています。ただ、それ以上のスピードで、実現したいことが増えているんです。
現状は、やりたいことに対してリソースが追いついていません。そのため、より多くの優秀なメンバーに加わってもらいたいと考えています。
AI活用は3領域。それでも、すべてをAIには任せない
── RevCommでは、AIをどのように業務へ組み込んでいるのでしょうか。
RevCommにおけるAI活用は、大きく3つに分けられます。
一つ目は、従業員が日常業務で使うAIです。ClaudeやGeminiなどを業務で利用できる環境を、情報システム部門の管轄で整えています。調査やドキュメント作成などに活用し、業務の生産性を高めています。
二つ目は、MiiTelのプロダクト自体にAIを組み込む取り組みです。「MiiTel Synapse Copilot」では、会話データについてAIに質問できます。会話を要約する機能も提供しています。
さらに、通話中や会議中に、その場でAIへ質問できるリアルタイム機能の開発にも取り組んでいます。プロダクトへのAI活用では、技術そのものだけでなく、アイデアが重要です。「どの業務に、どのようなAIを使うのか」を考える。さらに、「既存のワークフローやビジネスプロセスを、AIによってどう再発明できるのか」まで掘り下げます。まだ市場に定着していない新しい体験を、いち早く形にすることを意識しています。
三つ目は、コーディングエージェントの活用です。GitHub Copilot、Claude Code、Codex、Devinなど、主要なサービスをエンジニアが利用できるようにしています。人によって、使いやすいツールや相性の良いツールは異なります。そのため、会社として一つに固定するのではなく、主要な選択肢を用意し、エンジニア自身が選べるようにしています。
もちろん、際限なく費用をかければよいわけではありません。AIツールがどのようにビジネスへ貢献するのかを考え、予算も管理しながら、賢く活用することが重要です。
── AIによって市場が大きく変化するなかで、今後のビジョンをどのように描いていますか。
目指しているものは、創業時から変わっていません。「コミュニケーションを再発明し、人が人を想う社会を創る」ということです。
創業当時は、AIスピーカーが登場し始めた頃で、「本当に音声を正しく認識できるのか」と思われていた時代でした。それが今では、多くの人が日常的に音声でAIとやり取りしています。事業の戦い方も変わりましたが、それ以上に、私たちが技術によって実現できることが増えました。
だからこそ、新しい技術やアイデアを組み合わせ、これまでにないユーザー体験やコミュニケーションの形を生み出し、お客様が使いやすい形で市場へ届けていく。それを継続することが、私たちの役割だと考えています。
── 「人が人を想う社会を創る」という考えは、プロダクトへどのように反映されているのでしょうか。
私たちは、AIにすべてを任せて生産性だけを高めればよいとは考えていません。人間だからこそ得意なことや、人が対応すべきことがあるからです。
例えば、MiiTelには、電話や会議の内容をもとに、フォローメールの文案を自動生成する機能があります。ただし、AIが作るのは、あくまでドラフトです。定型的な部分はAIに任せる。人間は、その人に対して本当に伝えるべき内容を考え、最終的に仕上げる。そうした思想で機能を設計しています。
AIによる電話応対を実現する「MiiTel Synapse Agent」もあります。ただし、ここでもAIだけですべてを完結させることは目指していません。必要に応じて、人間のオペレーターへスムーズに引き継げることを重視しています。
契約内容の重要な変更や、料金に関する案内など、ミスが許されず、人間が責任を持って対応すべき場面があります。AIと人間がそれぞれの得意な領域を担い、連携できるように設計していることが、MiiTelの特徴です。
これは、「人が人を想う社会を創る」というミッションが、プロダクトの設計に落とし込まれている例だと思います。
ビジネスと技術をつなぎ、世界のコミュニケーションを変える仲間を求めて
── 現在は、どのような方と働きたいと考えていますか。
現在は、即戦力となるミドル層以上の採用が中心です。一定の経験を持ち、自律的に仕事を進められる方が活躍しやすい環境だと思います。
もちろん、CXOレベルの方に来ていただけるのであれば、非常にありがたいです。
一方で、経験年数が浅い人を採用していないわけではありません。第二新卒に近い若手メンバーも在籍しています。そうしたメンバーは、成長意欲や伸びしろが大きく、非常に速いスピードで成長しています。
── 技術的には、どのような人が組織に合うのでしょうか。
求める技術的な特性は、一つに限定できません。
シード期は人数が少ないため、さまざまな領域に対応できるフルスタックエンジニアが重宝されます。しかし、組織が大きくなると、幅広く対応できる人だけでなく、特定領域に深い専門性を持つ人も必要になります。
病院に例えるなら、内科や外科を問わず幅広く診られる救急医のような人もいます。一方で、特定の疾患や治療を専門とする医師もいます。開発組織も同じです。
幅広い領域に対応できるフルスタックな人材と、一つの分野を深く追究してきたスペシャリスト。その両方が、うまく共存し、機能していると考えています。
── 平村さんが今、特に加わってほしいと考えている人材はいますか。
RevCommは、電話、Web会議、対面など、複数の領域でプロダクトを展開しています。同じステージのスタートアップと比較しても、扱っているサービスや事業の範囲は広いと思います。
感覚としては、私は現在、3〜4社分のCTO業務を一人で担っているような状態です。そのため、できるだけ早く、各事業を技術面から率いる「事業部CTO」のような役割を設けたいと考えています。
それぞれのサービスに、まだ取り組むべきことが数多くあります。一つの事業に責任を持ち、ビジネスとテクノロジーの両方を理解しながら、成長を牽引してくれる方に来ていただけると非常に心強いです。
また、現在のフェーズでは、論理的な思考だけでなく、クリエイティブな発想も重要です。
お客様から要望を受けて、「分かりました。そのとおりに作ります」と対応するだけではありません。「この技術とこの機能を組み合わせれば、もっと良い体験を作れるのではないか」と考える。「お客様は、既存のサービスに不満を感じているのではないか」と想像する。そうした発想が大切です。
セールステックの領域だけを見るのではなく、BtoCサービスやゲーム、ECなど、異なる業界の優れた体験や機能からヒントを得て、MiiTelへ応用する。そのように、領域を越えて発想できる方に加わってもらえるとうれしいですね。
── 最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
私たちは、これまで活用されずに失われていた音声データを企業の資産に変え、まだ世の中にない価値を生み出そうとしています。
目指しているのは、すでに存在するプロダクトの模倣ではありません。まだ世の中に埋もれている課題を見つけ、それを解決する新しいプロダクトを生み出すことです。実現したいアイデアはありますが、それを一緒に形にしていく仲間が、まだ足りていません。
RevCommには、音声解析や音声通信に関する技術があります。これまで蓄積してきたデータや知見もあります。互いの専門性や考え方を尊重しながら、社会の課題を技術で解決できる環境です。
また、私たちが向き合うのは日本市場だけではありません。すでにインドネシアにも事業・開発拠点があり、今後はほかの国への展開も見据えています。
世界中のコミュニケーションを、より良いものに変えていく。その挑戦に、技術とプロダクトを通じて貢献したい方と、一緒に働きたいと思っています。



